互跪姿勢による疲労感の軽減効果 酪農業における搾乳中の作業姿勢の提案

酪農業における搾乳中の作業姿勢は,両足の足底を床に接地させるしゃがみ姿勢(蹲踞(そんきょ)姿勢)である.本研究では,搾乳中の疲労感を軽減させるため,片膝を床に接地させるしゃがみ姿勢(互跪(ごき)姿勢)を提案した.互跪姿勢は蹲踞姿勢に比べて支持基底面の面積が大きい.酪農現場で互跪姿勢がとれるように,牛舎の床上に片膝を間接的に接地するための補助具を設計した.研究協力者は健康な若年の成人10名とし,2条件(片膝に補助具を着用して互跪姿勢をとる(互跪条件),膝に何も着用せずに蹲踞姿勢をとる(蹲踞条件))における搾乳を模擬したタスクを行い,課題中の所要時間や疲労感を比較した.互跪条件は,蹲踞条件と所要時...

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Published in人間工学 Vol. 57; no. 3; pp. 129 - 134
Main Authors 大賀, 久美, 船井, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 15.06.2021
日本人間工学会
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Summary:酪農業における搾乳中の作業姿勢は,両足の足底を床に接地させるしゃがみ姿勢(蹲踞(そんきょ)姿勢)である.本研究では,搾乳中の疲労感を軽減させるため,片膝を床に接地させるしゃがみ姿勢(互跪(ごき)姿勢)を提案した.互跪姿勢は蹲踞姿勢に比べて支持基底面の面積が大きい.酪農現場で互跪姿勢がとれるように,牛舎の床上に片膝を間接的に接地するための補助具を設計した.研究協力者は健康な若年の成人10名とし,2条件(片膝に補助具を着用して互跪姿勢をとる(互跪条件),膝に何も着用せずに蹲踞姿勢をとる(蹲踞条件))における搾乳を模擬したタスクを行い,課題中の所要時間や疲労感を比較した.互跪条件は,蹲踞条件と所要時間が同等であったが,蹲踞条件に比べてしゃがんでいる間の疲労感が有意に低いことを確認した.以上より,補助具を着用して互跪姿勢をとると,作業効率の改善は見られないが蹲踞姿勢に比べて疲労感は軽減することが示唆された.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.57.129