在宅高齢女性における日常生活動作の日常レベルと生活習慣の関連

目的 日常生活動作と生活習慣や加齢との関連を,生活体力測定項目を普通の速さで行った場合(日常レベル)と最大の速さで行った場合(最大能力)の測定結果を中心に検討し,日常レベルの測定意義を考察した。 方法 対象は A 町主催の高齢者健康づくり教室参加者で生活体力測定を 4 種目以上実施できた女性69人(平均年齢±標準偏差は74.3±7.0, 60~90歳)であった。  対象者の生活習慣,健康状態,生活満足度等は保健師による聞き取り調査で把握し,日常生活動作は生活体力と身体能力(握力,長座体前屈,開眼片足立ち)で測定した。生活体力は種田らの高齢者の生活体力測定による 4 能力(手腕作業,障害物歩行,...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 7; pp. 648 - 659
Main Authors 柳堀, 朗子, 白井, みどり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2002
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.49.7_648

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Summary:目的 日常生活動作と生活習慣や加齢との関連を,生活体力測定項目を普通の速さで行った場合(日常レベル)と最大の速さで行った場合(最大能力)の測定結果を中心に検討し,日常レベルの測定意義を考察した。 方法 対象は A 町主催の高齢者健康づくり教室参加者で生活体力測定を 4 種目以上実施できた女性69人(平均年齢±標準偏差は74.3±7.0, 60~90歳)であった。  対象者の生活習慣,健康状態,生活満足度等は保健師による聞き取り調査で把握し,日常生活動作は生活体力と身体能力(握力,長座体前屈,開眼片足立ち)で測定した。生活体力は種田らの高齢者の生活体力測定による 4 能力(手腕作業,障害物歩行,立ち上がり歩行,身辺作業)とし,測定方法には一部改変を加えた。日常レベルは生活体力の各項目を普通に行った時の所要時間,最大能力は最大速度で行った場合の所要時間として測定した。 成績 生活体力のいずれの項目でも最大能力は日常レベルより有意に速い値であり日常レベルと最大能力の測定は実施できた。二者の相関は有意に高かった。日常生活動作は手腕動作と身辺作業の最大能力を除いて年齢と有意な関連がみられた。年齢を共変量とした共分散分析の結果,日常レベルにおいて生活習慣と関連があった項目は「家の中の生活で動いている」と手腕作業,身辺作業,「買い物に行く方法が歩きや自転車」と障害物歩行,身辺作業,最大能力では「家の中の生活で動いている」と手腕作業,「買い物に行く方法が歩きや自転車」と障害物歩行であり,いずれも活動的な者の所要時間が短かった。 結論 本研究の日常生活動作測定項目は,高齢者の生活習慣と関連を持っていた。日常レベルと最大能力は相関が高く,生活習慣との関連も類似していたことより,日常レベルの測定は最大能力の場合と同様の意味を持ち,さらに測定の安全面では最大能力測定に勝る方法であると考えられた。しかし,二つの測定値と生活習慣との関連における差異については更なる検討が必要であると考えられた。高齢者が日常生活動作を行う能力を保持することは QOL の維持に必要であり,その能力の評価指標として日常レベルの測定を含む日常生活動作の測定は有意義であることが示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.49.7_648