低血糖患者はもっと潜んでいる - プロトコールの問題点

【要旨】 目的: 当地区で救急救命士の処置が拡大された2015年度以降, 来院時低血糖の症例に対し救急車内で血糖測定・ブドウ糖溶液投与が行われなかった理由を検討した. 方法: 2015年度からの3年間に当院救急外来に救急車で来院, 15歳以上で来院時血糖値70mg/dL未満の患者を対象に, 救急車内のJapan Coma Scale (以下JCSと略す), 血糖測定・ブドウ糖溶液投与の有無, 来院時血糖値などを調査した. 結果: 対象は397例で, 血糖測定50例, ブドウ糖溶液投与は8例に行われた. ブドウ糖溶液未投与389例のうち297例が血糖未測定であり, その74.7%はJCS II桁...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 12 - 18
Main Authors 倉橋ともみ, 小林洋介, 白浜功徳, 渡邉峰守, 中野浩, 浅岡峰雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 29.02.2020
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Summary:【要旨】 目的: 当地区で救急救命士の処置が拡大された2015年度以降, 来院時低血糖の症例に対し救急車内で血糖測定・ブドウ糖溶液投与が行われなかった理由を検討した. 方法: 2015年度からの3年間に当院救急外来に救急車で来院, 15歳以上で来院時血糖値70mg/dL未満の患者を対象に, 救急車内のJapan Coma Scale (以下JCSと略す), 血糖測定・ブドウ糖溶液投与の有無, 来院時血糖値などを調査した. 結果: 対象は397例で, 血糖測定50例, ブドウ糖溶液投与は8例に行われた. ブドウ糖溶液未投与389例のうち297例が血糖未測定であり, その74.7%はJCS II桁未満であった. 救急車内の血糖値が50mg/dL以上の17例すべてで来院時さらに血糖値が低下した. 結論: JCS II桁未満, 血糖値50mg/dL以上でも血糖測定・ブドウ糖溶液投与が可能になるようプロトコールの再検討が必要である.
ISSN:1345-0581
DOI:10.11240/jsem.23.12