特定保健指導での活用を目指した糖尿病発症リスク予測シートの開発

目的 特定保健指導等に活用するための糖尿病発症リスクを予測するスコアの作成と糖尿病発症リスク予測シートを開発することを目的とした。 方法 茨城県健診受診者生命予後追跡調査のデータより,1993年度に基本健康診査を受診した40~69歳の男女53,388人(男性16,289人,女性37,099人)を解析の対象とし,毎年の基本健康診査結果を2003年度まで追跡した(平均追跡年数:男性5.0年,女性5.5年)。ベースライン時の健診結果に基づき,血糖,中性脂肪(対数変換値),収縮期血圧,body mass index(BMI),治療の有無(高血圧,高脂血症),喫煙状況,飲酒状況,採血時の空腹状況の各項目...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 287 - 294
Main Authors 西連地, 利己, 入江, ふじこ, 田中, 喜代次, 大田, 仁史, 笹井, 浩行, 磯, 博康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2008
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.55.5_287

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Summary:目的 特定保健指導等に活用するための糖尿病発症リスクを予測するスコアの作成と糖尿病発症リスク予測シートを開発することを目的とした。 方法 茨城県健診受診者生命予後追跡調査のデータより,1993年度に基本健康診査を受診した40~69歳の男女53,388人(男性16,289人,女性37,099人)を解析の対象とし,毎年の基本健康診査結果を2003年度まで追跡した(平均追跡年数:男性5.0年,女性5.5年)。ベースライン時の健診結果に基づき,血糖,中性脂肪(対数変換値),収縮期血圧,body mass index(BMI),治療の有無(高血圧,高脂血症),喫煙状況,飲酒状況,採血時の空腹状況の各項目が,糖尿病発症(空腹時血糖126 mg/dL 以上,随時血糖200 mg/dL 以上,糖尿病治療中のいずれか)に及ぼす影響を stepwise 法による Cox の比例ハザードモデルを用いて検討した。分析で有意であった項目の相対危険度(relative risk: RR)をすべて乗算することで糖尿病リスクスコアを算出した。さらにその糖尿病リスクスコアを基に特定保健指導に活用しうる糖尿病発症リスク予測シートの開発を試みた。 結果 追跡期間中に,3,654人(男性1,667人,女性1,987人)の糖尿病発症が観察された。糖尿病発症を予測する項目として,男女ともに BMI,血糖,空腹状況,収縮期血圧,高血圧治療,中性脂肪および喫煙状況が採択され,これらを用いて糖尿病リスクスコアを算出した。作成したスコアに基づき,各危険因子の代表値および RR を示し,良好な生活習慣の獲得を促すための内容を盛り込んだ糖尿病発症リスク予測シートを開発した。 結論 本シートは,特定保健指導を効果的に実践するためのひとつのツールとなることが期待できる。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.55.5_287