Zn(S4)配位様式を有する亜鉛(II)錯体のインスリン様作用 in vitroおよびin vivo評価

生活習慣病として知られている2型糖尿病は, インスリン作用不足により高血糖などの代謝異常を示し, 長期にわたると特有の合併症の危険性が増加する疾患である. 2億人を越える世界の糖尿病患者を治療し, かつQuality of Lifeを高めるため, 多くの薬剤開発が行われ, すでにいくつかが臨床的に用いられている. しかし, これらの薬剤には低血糖などの多くの副作用があるため, 副作用の少ない薬剤の開発が急務である. 1980年に亜鉛(II)イオンのインスリン様作用が明らかにされ[1], 亜鉛(II)イオンのインスリン様作用や血糖降下作用が注目されるようになった[2-3]. 我々は食品添加物(マ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 16; no. 4; pp. 358 - 360
Main Authors 桜井, 弘, 吉川, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.16.358

Cover

More Information
Summary:生活習慣病として知られている2型糖尿病は, インスリン作用不足により高血糖などの代謝異常を示し, 長期にわたると特有の合併症の危険性が増加する疾患である. 2億人を越える世界の糖尿病患者を治療し, かつQuality of Lifeを高めるため, 多くの薬剤開発が行われ, すでにいくつかが臨床的に用いられている. しかし, これらの薬剤には低血糖などの多くの副作用があるため, 副作用の少ない薬剤の開発が急務である. 1980年に亜鉛(II)イオンのインスリン様作用が明らかにされ[1], 亜鉛(II)イオンのインスリン様作用や血糖降下作用が注目されるようになった[2-3]. 我々は食品添加物(マルトール)を配位子とするZn(O4)型配位様式をもつ亜鉛(II)錯体は亜鉛(II)イオンよりも高いインスリン様作用をもつことを2000年に明らかにし, その後多くの亜鉛(II)錯体を提案してきた[4-5]. これまで, 本研究室では, 硬い酸のバナジルイオン(VO2+)と軟らかい塩基である硫黄を含む錯体は, 強いインスリン様作用および血糖降下作用を示すことを明らかにした[6]. 本成果が, 亜鉛(II)錯体に関しても展開できるかどうかを検討することとした.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.16.358