児童の高齢者イメージに影響をおよぼす要因 “REPRINTS” 高齢者ボランティアとの交流頻度の多寡による推移分析から

目的 2004年 6 月より高齢者による学校ボランティア活動(絵本の読み聞かせ)を通じた児童との世代間交流型介入研究 “REPRINTS”(Research of Productivity by Intergenerational Sympathy)を開始した。対象児童の高齢者イメージの関連要因,および “REPRINTS” ボランティア(以下,ボランティアとよぶ)の 1 年間の活動により,対象児童の高齢者イメージがどのように変化したかを検証する。 方法 川崎市立 A 小学校(住宅地,児童数470人)を対象にボランティア 4~6 人が週 2 日訪問し,絵本の読み聞かせを継続した。ボランティア試...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 54; no. 9; pp. 615 - 625
Main Authors 李, 相侖, 小宇佐, 陽子, 天野, 秀紀, 吉田, 裕人, 佐久間, 尚子, 藤原, 佳典, 深谷, 太郎, 新開, 省二, 井上, かず子, 大場, 宏美, 内田, 勇人, 西, 真理子, 角野, 文彦, 渡辺, 直紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2007
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.54.9_615

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Summary:目的 2004年 6 月より高齢者による学校ボランティア活動(絵本の読み聞かせ)を通じた児童との世代間交流型介入研究 “REPRINTS”(Research of Productivity by Intergenerational Sympathy)を開始した。対象児童の高齢者イメージの関連要因,および “REPRINTS” ボランティア(以下,ボランティアとよぶ)の 1 年間の活動により,対象児童の高齢者イメージがどのように変化したかを検証する。 方法 川崎市立 A 小学校(住宅地,児童数470人)を対象にボランティア 4~6 人が週 2 日訪問し,絵本の読み聞かせを継続した。ボランティア試験導入開始 1 か月後に初回調査,その後,6 か月ごとに第二回,第三回調査(集合・自記式アンケート)を行った。調査項目は,基本属性,SD (Semantic Differential)法による高齢者の情緒的イメージ尺度10項目短縮版(「評価性」因子 6 項目と「活動性・力量性」因子 4 項目),祖父母との同居経験,祖父母等の高齢者との交流経験(以降,高齢者との交流経験総得点とよぶ),ボランティアから読み聞かせをしてもらった経験(以降,読み聞かせ経験とよぶ),社会的望ましさ尺度短縮版。 結果 多重ロジスティック回帰モデルにより初回調査で「評価性」因子得点が高い(高齢者に対し肯定的なイメージをもつ)ことの関連要因は低学年,高齢者との交流経験総得点高値が,「活動性・力量性」因子得点が高いことの関連要因は低学年,男子,社会的望ましさ尺度短縮版高値が抽出された。  次に,初回,第二回(6 か月後),第三回調査(12か月後)のうち,二回以上の調査で,「読み聞かせ,あり」と回答した児童を読み聞かせ経験の高頻度群(170人),一回以下の児童を低頻度群(175人)とし,これら二群の「評価性」因子と「活動性・力量性」因子の得点変化を一般化線形モデル(学年,性,高齢者との交流経験総得点,社会的望ましさ尺度短縮版を調整)により評価したところ,「評価性」因子の群間と調査回数に交互作用がみられた(P=0.012)。 結論 高齢者イメージは児童の成長とともに低下する可能性あるが,“REPRINTS” ボランティアとの交流頻度が高い児童では,1 年後も肯定的なイメージを維持しうることが示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.54.9_615