住民対象者と歯科医院受診患者対象者における歯科健康調査回答の比較

目的 同一地区における無作為抽出による住民と,歯科医院を受診した患者に,同じ内容の調査を行い,対象者のサンプリングの違いによる回答の差を明らかにすることを目的に本研究を行った。 方法 無作為抽出法では岐阜県 M 市における住民情報データベースに基づき年齢階層化無作為抽出により抽出率6.46%で抽出し,郵送法により回答を得た人900人を分析対象者とした(以下住民群)。患者調査法では同市内の12の歯科医院へ受診した患者で回答を得た240人を分析対象とした(以下患者群)。  調査項目は,口腔内の状況,口腔の健康維持に関する状況,生活習慣,食事・栄養摂取についてであった。 結果 住民群における郵送法の...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 508 - 514
Main Authors 小窪, 和博, 柘植, 紳平, 阿部, 義和, 横山, 靖夫, 水野, 明広, 中垣, 晴男, 森田, 一三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2003
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.50.6_508

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Summary:目的 同一地区における無作為抽出による住民と,歯科医院を受診した患者に,同じ内容の調査を行い,対象者のサンプリングの違いによる回答の差を明らかにすることを目的に本研究を行った。 方法 無作為抽出法では岐阜県 M 市における住民情報データベースに基づき年齢階層化無作為抽出により抽出率6.46%で抽出し,郵送法により回答を得た人900人を分析対象者とした(以下住民群)。患者調査法では同市内の12の歯科医院へ受診した患者で回答を得た240人を分析対象とした(以下患者群)。  調査項目は,口腔内の状況,口腔の健康維持に関する状況,生活習慣,食事・栄養摂取についてであった。 結果 住民群における郵送法の回収率は,男性41.0%,女性49.0%であった。  住民群と患者群の比較では「歯ぐきが腫れることがありますか」,「専門家による歯みがきの指導を受けたことがありますか」は男女ともに住民群のほうが患者群に比べ“はい”と回答する者の割合が有意に(P<0.05)少なかった。 結論 患者群は住民群に比べ歯科医院への受診,受療が行われている割合が高かった。一方,患者群は住民群に比べ,口腔の健康を保つ行動をとる者の割合が少なく,口腔内に問題を持つ者の割合が多かった。地域の口腔保健の目標作成にあたり,歯科医院における患者を対象とした調査は地域住民の口腔保健のベースライン値として用いるには適切とはいえないと結論される。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.50.6_508