生活自立高齢者における日常生活時血圧変動と抑うつ症状,睡眠状況との関連

目的 地域に在住する生活自立高齢者の日常生活時血圧変動と抑うつ症状,睡眠状況との関連を明らかにすることを目的とした。 方法 一農村地域に在住し基本的生活動作能力障害のない高齢者41人を対象とした。抑うつ症状(Geriatric Depression Scale 短縮版)および基本的 ADL,高次生活動作能力(老研式活動能力指標),日常の自覚的睡眠感,現病歴に関する問診と携帯型自動血圧心拍計による24時間血圧脈拍の測定,手関節部アクチグラムによる睡眠・覚醒の判定,測定時の睡眠・生活行動に関する自記式の記録を実施した。 結果 (1)高血圧治療中の者は,覚醒時・夜間睡眠時ともに有意に高い収縮期・拡張...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 178 - 187
Main Authors 渡辺, 丈眞, 松浦, 尊麿, 渡辺, 美鈴, 土手, 友太郎, 清水, 宏泰, 河野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2002
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Summary:目的 地域に在住する生活自立高齢者の日常生活時血圧変動と抑うつ症状,睡眠状況との関連を明らかにすることを目的とした。 方法 一農村地域に在住し基本的生活動作能力障害のない高齢者41人を対象とした。抑うつ症状(Geriatric Depression Scale 短縮版)および基本的 ADL,高次生活動作能力(老研式活動能力指標),日常の自覚的睡眠感,現病歴に関する問診と携帯型自動血圧心拍計による24時間血圧脈拍の測定,手関節部アクチグラムによる睡眠・覚醒の判定,測定時の睡眠・生活行動に関する自記式の記録を実施した。 結果 (1)高血圧治療中の者は,覚醒時・夜間睡眠時ともに有意に高い収縮期・拡張期血圧平均値を示した。 (2)自覚的睡眠感と日常生活時血圧変動との関連は明らかでなかった。 (3)アクチグラムによる睡眠評価指標と日常生活時血圧変動との関連は明らかでなかった。 (4)高血圧治療中の者では,抑うつ症状が強いほど夜間睡眠時の収縮期および拡張期血圧の低下が有意に少なく,高血圧治療を有さない者では,抑うつ症状の強いものほど24時間および覚醒時の収縮期・拡張期血圧平均値が有意に高かった。 結論 地域に在住する生活自立高齢者において,抑うつ症状は日常生活時収縮期・拡張期血圧平均値が高いことおよび高血圧治療者の収縮期・拡張期血圧の夜間睡眠時低下が小さいことと関連していた。一方,日常生活時血圧変動と睡眠障害との関連は明らかでなかった。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.49.3_178