バラ開花時における細胞壁伸展性と細胞壁緩みに関するタンパク質の働き

開花現象とは一般的に花弁細胞の肥大によるものであることから,私たちはバラ花弁の肥大成長機構に着目した.花弁の細胞壁伸展性をクリープ試験により解析し,各萼片が完全に離れた開花ステージ IV の花弁で細胞壁の緩みが起こっていることを示唆する結果を得た.さらに,ステージ IV の花弁から抽出した細胞壁タンパク質には,ステージ III 花弁の細胞壁を緩ませる作用がある可能性が示唆された.エクスパンシンとエンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)は,アポプラストに局在し,植物において細胞壁を緩める働きがあるといわれている.私たちはそれらタンパク質のバラ花弁成長や開花における役割の解析を試みた...

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Published inJournal of the Japanese Society for Horticultural Science Vol. 78; no. 2; pp. 242 - 251
Main Authors 山田, 邦夫, 高橋, 励, 藤谷, 千春, 三島, 慶子, 吉田, 正人, C., Joyce Daryl, 山木, 昭平
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 園芸学会 2009
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Summary:開花現象とは一般的に花弁細胞の肥大によるものであることから,私たちはバラ花弁の肥大成長機構に着目した.花弁の細胞壁伸展性をクリープ試験により解析し,各萼片が完全に離れた開花ステージ IV の花弁で細胞壁の緩みが起こっていることを示唆する結果を得た.さらに,ステージ IV の花弁から抽出した細胞壁タンパク質には,ステージ III 花弁の細胞壁を緩ませる作用がある可能性が示唆された.エクスパンシンとエンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)は,アポプラストに局在し,植物において細胞壁を緩める働きがあるといわれている.私たちはそれらタンパク質のバラ花弁成長や開花における役割の解析を試みた.エクスパンシンと XTH の転写産物量は花弁の成長とともに大きく変化した.特に RhEXPA1 や RhXTH1 の転写産物量は花弁成長にともない大きく増加し,また花弁部位別の成長量との相関もみられた.今回の結果から RhEXPA1 や RhXTH1 がバラ花弁の肥大成長に関係するメジャーなパラログであることが示唆された.
ISSN:1882-3351
1882-336X
DOI:10.2503/jjshs1.78.242