腐食した亜鉛めっき鋼線の疲労特性

腐食度の異なる橋梁ケーブル用亜鉛めっき鋼線(1570MPa級)の疲労強度について研究した.供試材は,湿潤が保持される実橋の腐食環境をシミュレートする,湿ったガーゼを巻き付ける方法により腐食させた.腐食した亜鉛めっき鋼線の疲労強度は,亜鉛めっきが腐食により消費され,地鉄の腐食が開始してから大きく低下した.さらに,湿潤下での疲労強度は乾燥下に比べ低下する傾向が認められた.破断部の観察を行った結果,いずれの供試材も,破断の起点は孔食部から発生し,亀裂伝播した形態であった.腐食による疲労強度の低下は孔食部への応力集中,湿潤環境の低下は腐食反応をともなった疲労を生じるためと考えられた....

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Published in土木学会論文集A Vol. 62; no. 3; pp. 614 - 622
Main Authors 鈴村, 恵太, 中村, 俊一, 樽井, 敏三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 土木学会 2006
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Summary:腐食度の異なる橋梁ケーブル用亜鉛めっき鋼線(1570MPa級)の疲労強度について研究した.供試材は,湿潤が保持される実橋の腐食環境をシミュレートする,湿ったガーゼを巻き付ける方法により腐食させた.腐食した亜鉛めっき鋼線の疲労強度は,亜鉛めっきが腐食により消費され,地鉄の腐食が開始してから大きく低下した.さらに,湿潤下での疲労強度は乾燥下に比べ低下する傾向が認められた.破断部の観察を行った結果,いずれの供試材も,破断の起点は孔食部から発生し,亀裂伝播した形態であった.腐食による疲労強度の低下は孔食部への応力集中,湿潤環境の低下は腐食反応をともなった疲労を生じるためと考えられた.
ISSN:1880-6023
DOI:10.2208/jsceja.62.614