福島第一原子力発電所事故4年後における避難生活を送る高齢者の健康および放射線の不安に関する意識調査

本研究は、2011年の福島第一原子力発電所事故により避難中の高齢者が自身の健康状態と放射線についてどのように認識しているかを明らかにし、今後の生活に必要な援助について示唆を得ることを目的とした。対象は福島県内のA町から避難中の高齢者86名で、健康不安、活動状況、放射線に対する不安などを聞き取り調査した。結果、健康不安がある者は57%で、体力の低下に関連して不安を抱き、体力低下により外出頻度が低下した者もいた。また、気分の落ち込みがある者は仮設住宅での生活のストレスを理由に挙げていた。放射線について不安がある者は24%であり、子供や孫への影響、摂取する食べ物などを危惧していた。本研究結果より、避...

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Published in日本放射線看護学会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 47 - 55
Main Authors 北島, 麻衣子, 大津, 美香, 冨澤, 登志子, 笹竹, ひかる, 井瀧, 千恵子, 米内山, 千賀子, 漆坂, 真弓, 西沢, 義子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本放射線看護学会 31.03.2017
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Summary:本研究は、2011年の福島第一原子力発電所事故により避難中の高齢者が自身の健康状態と放射線についてどのように認識しているかを明らかにし、今後の生活に必要な援助について示唆を得ることを目的とした。対象は福島県内のA町から避難中の高齢者86名で、健康不安、活動状況、放射線に対する不安などを聞き取り調査した。結果、健康不安がある者は57%で、体力の低下に関連して不安を抱き、体力低下により外出頻度が低下した者もいた。また、気分の落ち込みがある者は仮設住宅での生活のストレスを理由に挙げていた。放射線について不安がある者は24%であり、子供や孫への影響、摂取する食べ物などを危惧していた。本研究結果より、避難生活を送る高齢者の健康不安は活動量の減少や体力低下に起因し、さらに避難生活の長期化、慣れない環境での暮らしによる不安もうかがえた。そのため、心理的な変化も考慮しつつ活動・運動を行う場を提供する必要性が示唆された。
ISSN:2187-6460
2433-5649
DOI:10.24680/rnsj.5.1_47