VNTR部位増幅を用いた同種骨髄移植後の生着診断の有用性

Variable number of tandem repeats (VNTR) 部位は, DNA上で一定の繰返し塩基配列がみられる部位で, その繰返し数に多型性が認められるため個人識別に有用である.今回, 我々は2種類のVNTR部位をpolymerase chain reaction (PCR) 法により増幅し, 同種骨髄移植後の生着判定における有用性を検討した.対象症例は, 同種骨髄移植を施行した12例であった.移植後早期より検討し得た症例では, 白血球数の回復が認められた移植後7~21日目で生着判定が可能であった.また, 完全に生着した後に, 臨床的に再発前にキメラを呈した症例や急性GV...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 6; no. 5; pp. 468 - 476
Main Authors 河, 敬世, 多和, 昭雄, 坂田, 尚己, 倉橋, 浩樹, 原, 純一, 井上, 雅美, 大杉, 夕子, 勇村-八木, 啓子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1992
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.6.468

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Summary:Variable number of tandem repeats (VNTR) 部位は, DNA上で一定の繰返し塩基配列がみられる部位で, その繰返し数に多型性が認められるため個人識別に有用である.今回, 我々は2種類のVNTR部位をpolymerase chain reaction (PCR) 法により増幅し, 同種骨髄移植後の生着判定における有用性を検討した.対象症例は, 同種骨髄移植を施行した12例であった.移植後早期より検討し得た症例では, 白血球数の回復が認められた移植後7~21日目で生着判定が可能であった.また, 完全に生着した後に, 臨床的に再発前にキメラを呈した症例や急性GVHD症状が出現したにも関わらず, VNTR増幅では一度もドナー由来のバンドが認められなかった症例も経験した.PCR法を用いたVNTR増幅を用いた生着診断は, 移植後早期の骨髄低形成の状態でも診断が可能, 輸血の影響が少ない等の利点があり, 同種骨髄移植後の生着過程の解明にも有用であると考えられる.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.6.468