骨髄異形成症候群に対する新規治療の展望

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)は無効造血と白血病移行を主徴とする造血器悪性腫瘍で,白血病移行の危険により,低悪性度群と高悪性度群に分類される.両者の分類には国際予後予測スコアリングシステム(International Prognostic Scoring System:IPSS)が用いられてきたが,最近,より精度の高いものに改訂された.低リスク群に対しては,造血回復を目指してダルベポエチンやレナリドミドが,高リスク群に対して白血病移行遅延のためアザシチジン(azacitidine:AZA)が導入されたが,奏効率や生存期間延長効果は十分といえない.同...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 107; no. 8; pp. 1566 - 1572
Main Author 石川, 隆之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.08.2018
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.107.1566

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Summary:骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)は無効造血と白血病移行を主徴とする造血器悪性腫瘍で,白血病移行の危険により,低悪性度群と高悪性度群に分類される.両者の分類には国際予後予測スコアリングシステム(International Prognostic Scoring System:IPSS)が用いられてきたが,最近,より精度の高いものに改訂された.低リスク群に対しては,造血回復を目指してダルベポエチンやレナリドミドが,高リスク群に対して白血病移行遅延のためアザシチジン(azacitidine:AZA)が導入されたが,奏効率や生存期間延長効果は十分といえない.同種造血幹細胞移植は本疾患に治癒をもたらし得るが,治療関連毒性が高いのみならず,最近,治療効果を得難い患者群が示唆された.近年,MDSの発症・進展に関する分子生物学的機序の解析が進み,特定の遺伝子変異が注目されている.これらの遺伝子変異の情報を用いることで,MDSの診断・予後予測の精度が高まり,変異遺伝子を標的とした新規治療法の開発にもつながることが期待される.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.107.1566