海外渡航者に対するワクチンの重要性

主に海外渡航者を対象として接種されるワクチンは,トラベラーズワクチンとも呼ばれる.渡航時の感染症予防は,接種者の健康を守ると同時に,病原体を遠隔地へ伝播しないという観点からも大切である.渡航の形態や渡航者の背景が多様化した昨今は,渡航先でのライフスタイルや宿主要件を考慮し,ワクチンの接種計画を検討することが必要である.本稿では,各種トラベラーズワクチンについて解説すると共に,解決すべき課題を考察した.基本的な考え方として,「海外渡航をするからワクチン接種が必要」というよりは,日頃から感染症予防を心掛けることを重視したい.麻疹・風疹や破傷風をはじめ,成人世代に接種が必要なワクチンについて具体的な...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 108; no. 2; pp. 289 - 296
Main Author 中野, 貴司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.02.2019
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.108.289

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Summary:主に海外渡航者を対象として接種されるワクチンは,トラベラーズワクチンとも呼ばれる.渡航時の感染症予防は,接種者の健康を守ると同時に,病原体を遠隔地へ伝播しないという観点からも大切である.渡航の形態や渡航者の背景が多様化した昨今は,渡航先でのライフスタイルや宿主要件を考慮し,ワクチンの接種計画を検討することが必要である.本稿では,各種トラベラーズワクチンについて解説すると共に,解決すべき課題を考察した.基本的な考え方として,「海外渡航をするからワクチン接種が必要」というよりは,日頃から感染症予防を心掛けることを重視したい.麻疹・風疹や破傷風をはじめ,成人世代に接種が必要なワクチンについて具体的な推奨が明示されていないこと,海外標準製剤であっても,国内未承認のワクチンが多いこと等については,早急な解決が望まれる.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.108.289