斜面での雨水流出経路が源流域河川の溶存有機炭素濃度−流量関係に与える影響

雨水の流出経路が源流域河川の溶存有機炭素(DOC)濃度と流量の関係(C-Q関係)に及ぼす影響を明らかにするとともに,DOC濃度の推定手法について検討した.斜面下端をソースとする飽和地表流(SOF)が卓越する場合,C-Q関係は強い正の相関関係を示した.他方,斜面上方をソースとする飽和地中流(SSF)が卓越する場合,C-Q関係は極めて弱い正の相関関係を示し,さらに,線形回帰式の傾きは前者の約4%と著しく小さかった.同一出水内において流出経路がSOFからSSFへと変化すると,DOC濃度はSOF卓越時の線形回帰式による予測値よりも低くなった.以上より,SSFの発生は河川水のDOC濃度に対して希釈作用を...

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Published in土木学会論文集G Vol. 65; no. 1; pp. 37 - 43
Main Authors 坂本, 康, 芳賀, 弘和, 西田, 継
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 土木学会 2009
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ISSN1880-6082
DOI10.2208/jscejg.65.37

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Summary:雨水の流出経路が源流域河川の溶存有機炭素(DOC)濃度と流量の関係(C-Q関係)に及ぼす影響を明らかにするとともに,DOC濃度の推定手法について検討した.斜面下端をソースとする飽和地表流(SOF)が卓越する場合,C-Q関係は強い正の相関関係を示した.他方,斜面上方をソースとする飽和地中流(SSF)が卓越する場合,C-Q関係は極めて弱い正の相関関係を示し,さらに,線形回帰式の傾きは前者の約4%と著しく小さかった.同一出水内において流出経路がSOFからSSFへと変化すると,DOC濃度はSOF卓越時の線形回帰式による予測値よりも低くなった.以上より,SSFの発生は河川水のDOC濃度に対して希釈作用を持つと解釈できた.DOC濃度の推定式を得るには雨水の流出経路の違いによってC-Q関係が異なることに着目して解析すべきである.
ISSN:1880-6082
DOI:10.2208/jscejg.65.37