ICUにおけるオピオイド

オピオイドはICUで用いられる最も一般的な鎮痛薬である. 鎮痛には心筋虚血, 肺合併症の予防など利点が多いが, 良好な鎮痛を得るには看護師の鎮痛に対する認識や疼痛の評価が重要である. 疼痛の評価としては, Numeric Rating Scale, フェイススケールなどが有用である. 人工呼吸患者では看護師による総合的な評価, 交感神経緊張のサインを指標にする. またRamsay鎮静スケールなどを用いて, 鎮静深度を評価することも重要である. オピオイド投与法は, 筋注・静注などの全身投与と硬膜外投与に分けられる. 硬膜外オピオイドは意識レベルの低下, アジテーション発症の頻度が低いためきわめ...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 26; no. 7; pp. 654 - 663
Main Author 行岡, 秀和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2006
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.26.654

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Summary:オピオイドはICUで用いられる最も一般的な鎮痛薬である. 鎮痛には心筋虚血, 肺合併症の予防など利点が多いが, 良好な鎮痛を得るには看護師の鎮痛に対する認識や疼痛の評価が重要である. 疼痛の評価としては, Numeric Rating Scale, フェイススケールなどが有用である. 人工呼吸患者では看護師による総合的な評価, 交感神経緊張のサインを指標にする. またRamsay鎮静スケールなどを用いて, 鎮静深度を評価することも重要である. オピオイド投与法は, 筋注・静注などの全身投与と硬膜外投与に分けられる. 硬膜外オピオイドは意識レベルの低下, アジテーション発症の頻度が低いためきわめて有用であるが, 硬膜外鎮痛の禁忌に注意する. 局所麻酔薬との併用が一般的である. 人工呼吸中はオピオイドにプロポフォール, ミダゾラムなどの鎮静薬を併用する. わが国は欧米に比べて, 「オピオイドの使用量が少ない」 と指摘されている. オピオイドによる疼痛管理により, ICU患者が安全かつ快適に過ごすことが望まれる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.26.654