組織工学からみた臓器再生 —気管・気管支の再生治療

本研究の目的は, 体内で自己組織の再生を誘導するin situ Tissue Engineeringにより, 気道の臓器再生を実現することである. 組織再生の足場としてポリプロピレンメッシュとコラーゲンスポンジから構成される人工材料を開発した. 動物実験でこれを移植し最長5年の観察で, 気管, 主気管支, 輪状軟骨の組織再生を確認した. これらの結果をふまえて, 世界に先駆けて頸部気管で臨床応用を開始し, 術後10ヵ月の時点で経過順調であった. しかし, 胸部気管や分岐部気管ではまだ解決すべき問題は多い. 今後は基礎実験の成果を臨床に橋渡しするトランスレーショナルリサーチにより, 気道の各部位...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 25; no. 3; pp. 310 - 315
Main Authors 大森, 孝一, 安里, 亮, 山下, 勝, 中村, 達雄, 清水, 慶彦, 金丸, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2005
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.25.310

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Summary:本研究の目的は, 体内で自己組織の再生を誘導するin situ Tissue Engineeringにより, 気道の臓器再生を実現することである. 組織再生の足場としてポリプロピレンメッシュとコラーゲンスポンジから構成される人工材料を開発した. 動物実験でこれを移植し最長5年の観察で, 気管, 主気管支, 輪状軟骨の組織再生を確認した. これらの結果をふまえて, 世界に先駆けて頸部気管で臨床応用を開始し, 術後10ヵ月の時点で経過順調であった. しかし, 胸部気管や分岐部気管ではまだ解決すべき問題は多い. 今後は基礎実験の成果を臨床に橋渡しするトランスレーショナルリサーチにより, 気道の各部位に応じた再生治療の開発が期待される.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.25.310