カンジダ感染症と患者の栄養状態およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症との関連性について

1993年2月から1994年1月にかけて血液疾患を除く福岡大学病院内科病棟入院患者のうちカンジダ感染症を疑われた31例のうちカンジダが検出された20例における患者の栄養状態およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症との関連について検討した.MRSAは, 院内感染の原因菌として最も注目されているが, 単独で検出される例だけでなく, 他の菌と同時に分離される症例も多い.当院においてもMRSA単独検出例は36.8%(39/106) で, MRSAとの同時検出菌の内訳は, 緑膿菌19.8%(21/106), 腸球菌12.3%(13/106) に次いでカンジダ9.4%(10/106) がみ...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 71; no. 9; pp. 899 - 902
Main Authors 向野, 賢治, 武田, 誠司, 荒川, 規矩男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1997
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.899

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Summary:1993年2月から1994年1月にかけて血液疾患を除く福岡大学病院内科病棟入院患者のうちカンジダ感染症を疑われた31例のうちカンジダが検出された20例における患者の栄養状態およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症との関連について検討した.MRSAは, 院内感染の原因菌として最も注目されているが, 単独で検出される例だけでなく, 他の菌と同時に分離される症例も多い.当院においてもMRSA単独検出例は36.8%(39/106) で, MRSAとの同時検出菌の内訳は, 緑膿菌19.8%(21/106), 腸球菌12.3%(13/106) に次いでカンジダ9.4%(10/106) がみられた. カンジダ感染症7症例およびカンジダ保菌者13症例における栄養状態を検討した結果, 血清総蛋白 (平均値) は感染症症例では5.97g, dl, 保菌者症例では5.96g/dlであり, 有意差はみられず, 血清アルブミン (平均値) も3.11g/dlと3.27g/dlで有意差はみられなかった.しかし, 今回検討したカンジダ検出症例では血清総蛋白, 血清アルブミンともに正常値以下であったことから, カンジダ感染症の危険因子として, 抗生剤の過剰投与や重篤な基礎疾患に加えて, 栄養障害も重要であると考えられる.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.899