腎機能障害時におけるCinoxacinの血清中動態および尿中排泄動態に関する研究

新しく開発された経口用合成抗菌剤Cinoxacinの400mgを種々の程度の腎機能を有する18例に経口投与した際の, 血清中および尿中濃度を測定した。濃度測定は, 螢光法を用いた化学的定量法にて行ない, また薬動力学的解析はone-compartment open modelに従った。なお腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) を用い, 血中濃度, 尿中排泄および薬動力学的パラメータとの関連性について検討した。健康成人例におけるfree Cinoxacinの最高血中濃度は, 投与3時間後に得られ平均10.4μg/mlで, 血中濃度半減期は平均70分と計算され...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 28; no. Supplement4; pp. 133 - 138
Main Authors 川口, 光平, 菅田, 敏明, 高野, 学, 大川, 光央, 沢木, 勝, 岡所, 明, 黒田, 恭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1980
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement4_133

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Summary:新しく開発された経口用合成抗菌剤Cinoxacinの400mgを種々の程度の腎機能を有する18例に経口投与した際の, 血清中および尿中濃度を測定した。濃度測定は, 螢光法を用いた化学的定量法にて行ない, また薬動力学的解析はone-compartment open modelに従った。なお腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) を用い, 血中濃度, 尿中排泄および薬動力学的パラメータとの関連性について検討した。健康成人例におけるfree Cinoxacinの最高血中濃度は, 投与3時間後に得られ平均10.4μg/mlで, 血中濃度半減期は平均70分と計算された。free Cinoxacinの消失速度定数 (kel) とCcrとの間には有意の相関関係 (p<0.001) が認められ, 回帰直線方程式kel=0.167+0.00432 Ccrが得られた。また健康成人例における投与12時間後までのfree Cinoxacinの平均累積尿中回収率は618%, またCinoxacin conjugateまで含めたtotal Cinoxacinは95.2%で, いずれも腎機能の低下に伴い減少した。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement4_133