尿路感染症に対するCinoxacinの薬効評価

新しいキノロンカルボン酸系抗菌剤Cinoxacinの試験管内抗菌力を, E. coli 44株, K. Pneumoniae 20株について検討した。対照としてNalidixic acid を用いた。CinoxacinのMICはNalidixic acidと差がなく, E. coliでピーク値は3.13μg/ml, K. pneumoniaeでは60%が6.25~25μg/mlであった。 尿路感染症40例に本剤を1日400~800mg経口投与し, その成績と副作用を検討した。急性単純性膀胱炎にはUTI判定で86%, 主治医判定で92%の有効率をみた。腎孟腎炎3例では全例が有効であった。慢性複雑...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 28; no. Supplement4; pp. 219 - 229
Main Authors 鈴木, 恵三, 名出, 頼男, 新村, 研二, 藤田, 民夫, 置塩, 則彦, 浅野, 晴好, 山越, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1980
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Summary:新しいキノロンカルボン酸系抗菌剤Cinoxacinの試験管内抗菌力を, E. coli 44株, K. Pneumoniae 20株について検討した。対照としてNalidixic acid を用いた。CinoxacinのMICはNalidixic acidと差がなく, E. coliでピーク値は3.13μg/ml, K. pneumoniaeでは60%が6.25~25μg/mlであった。 尿路感染症40例に本剤を1日400~800mg経口投与し, その成績と副作用を検討した。急性単純性膀胱炎にはUTI判定で86%, 主治医判定で92%の有効率をみた。腎孟腎炎3例では全例が有効であった。慢性複雑性尿路感染症では1日400~800mg投与でUTI, 主治医判定共に67%の有効率であった。 副作用として, 自覚的には消化器系の異常をみたものが5例あったが, 4例は軽度であり, 中止例は1例, 2.5%であった。検査値の異常は, 肝機能で2例, 腎機能で2例認めたが, 肝炎を合併した例を除けば, 異常値を僅かに越えたもので, 特に問題となるべき点はなかった。 本剤のキノロンカルボン酸系抗菌剤としての特長は, 少量 (400~800mg/日) で, 十分満足すべき治療成績が得られた点である。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement4_219