神経調節性失神におけるTilt training効果の機序 正常例における自律神経活動指標による検討

「要旨」Tilt training(TT)が神経調節性失神(NMS)の治療に有効とされるが, その機序については明らかになっていない. そこで, TTの自律神経活動における効果の機序について検討することを目的とした. 対象はNMSの既往がない健常男子9名, 4週間のTT(30分×2回/日)を施行し, 1週間毎にHead-up Tilt試験(HUT: 75° 15分)を行い, TT前の心拍(HR)・自律神経活動指標(心拍変動(HRV): HF(msec2), LF/HF, 圧受容器反射感受性(BRS: msec/mmHg))を比較した. HRVはCGSA法, BRSはsequential法を用い...

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Published in伝統医療看護連携研究 Vol. 1; no. 1; pp. 50 - 56
Main Authors 熊谷, 英樹, 金子, 健太郎, 尾形, 優, 山田, 佳奈, 山本, 真千子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本伝統医療看護連携学会 31.07.2020
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Summary:「要旨」Tilt training(TT)が神経調節性失神(NMS)の治療に有効とされるが, その機序については明らかになっていない. そこで, TTの自律神経活動における効果の機序について検討することを目的とした. 対象はNMSの既往がない健常男子9名, 4週間のTT(30分×2回/日)を施行し, 1週間毎にHead-up Tilt試験(HUT: 75° 15分)を行い, TT前の心拍(HR)・自律神経活動指標(心拍変動(HRV): HF(msec2), LF/HF, 圧受容器反射感受性(BRS: msec/mmHg))を比較した. HRVはCGSA法, BRSはsequential法を用いた. その結果TTは, 安静時HR(68.0→61.9, P<0.038)を低下させ, HF(464.1→1136.6, P<0.036)を増加させた. したがって, HUT中のLF/HF(5.8→4.4, P<0.028)の増加は抑制された. また, TTの実施率は, 実施平均は74%, 平均実施時間は57%であった. これらから, 正常例におけるTTの効果は副交感神経系のリザーブを増加させ, 起立による交感神経系の賦活化を抑制することにあると結論された.
ISSN:2435-5356
2435-6395
DOI:10.34511/jstn.1.1_50