薬理学:正常および水,食塩減少羊におけるロサルタンの心血管系への作用に関する比較研究
羊の心血管系に対する非ペプチド性アンジオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンの作用を検討した.8頭の無麻酔で,正常血圧の羊で2回試験を行った.1回目は通常条件下で,2回目はフロセミド5mg/kgを1日2回3羊日間投与して体内の水分,電解質を減少させた条件下である.ロサルタン30mg/kgを静脈内注射すると対照群および水,電解質減少群ヒツジのどちらでも平均血圧(MABP)が低下した.MABPの最大低下は利尿薬処置群の方が対照群より大きく(20.0±2.7 vs 9.3±1.1mmHg),それに達する時間も早かった(8.0±3.3分vs 12.1±29分).対照群および利尿薬処置群の両方で血圧低下は...
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Published in | Journal of Veterinary Medical Science Vol. 62; no. 9; pp. 925 - 931 |
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Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本獣医学会
2000
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Summary: | 羊の心血管系に対する非ペプチド性アンジオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンの作用を検討した.8頭の無麻酔で,正常血圧の羊で2回試験を行った.1回目は通常条件下で,2回目はフロセミド5mg/kgを1日2回3羊日間投与して体内の水分,電解質を減少させた条件下である.ロサルタン30mg/kgを静脈内注射すると対照群および水,電解質減少群ヒツジのどちらでも平均血圧(MABP)が低下した.MABPの最大低下は利尿薬処置群の方が対照群より大きく(20.0±2.7 vs 9.3±1.1mmHg),それに達する時間も早かった(8.0±3.3分vs 12.1±29分).対照群および利尿薬処置群の両方で血圧低下は頻脈を伴った(増加5.5±1.8 vs 11.3±3.9拍/分).ロサルタン投与30分後には0.1μg/kgアンジオテンシンIIに対する昇圧反応は完全に遮断された.ロサルタン投与2時間後すべての動物でMABPは上昇傾向にあり,アンジオテンシンII受容体遮断効果は正常群で部分的に減弱した.正常群に比べて利尿薬処理群で心血管系への効果がより顕著であったことはその群でレニン·アンジオテンシン系が強く活性化していることと関連していた(血漿レニン濃度:6.51±1.33 vs 1.42±0.37ngアンジオテンシンI/ml/時間). |
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ISSN: | 0916-7250 1347-7439 |
DOI: | 10.1292/jvms.62.925 |