原発巣姑息切除術後3カ月で急速に進行した長径36cm乳腺悪性葉状腫瘍の1例

症例は39歳,女性.右乳房の皮膚浸潤を伴う巨大な腫瘍と疼痛のため,平成28年8月に当院へ救急外来受診となった.Hb 6.8g/dlと貧血を認め,胸部CTでは胸筋浸潤と右肺の多発肺転移を認めた.針生検では葉状腫瘍が疑われた.悪臭を伴う浸出液と出血があり,また疼痛がひどく巨大で歩行困難なため,乳房切除術+広背筋皮弁再建を施行した.腫瘍の重量は約4kgであった.病理検査では悪性葉状腫瘍と診断し,Ki67 labeling indexは70%であった.術後に右肺の転移巣切除を行う方針とするも,胸腔鏡検査で悪性胸水と腫瘍の胸膜浸潤を認めたため,切除不能と判断した.化学療法は希望せず緩和治療となった.術後...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 10; pp. 1964 - 1968
Main Authors 児玉, 泰一, 迫, 裕孝, 花澤, 一芳, 仲, 成幸, 谷, 総一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1964

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Summary:症例は39歳,女性.右乳房の皮膚浸潤を伴う巨大な腫瘍と疼痛のため,平成28年8月に当院へ救急外来受診となった.Hb 6.8g/dlと貧血を認め,胸部CTでは胸筋浸潤と右肺の多発肺転移を認めた.針生検では葉状腫瘍が疑われた.悪臭を伴う浸出液と出血があり,また疼痛がひどく巨大で歩行困難なため,乳房切除術+広背筋皮弁再建を施行した.腫瘍の重量は約4kgであった.病理検査では悪性葉状腫瘍と診断し,Ki67 labeling indexは70%であった.術後に右肺の転移巣切除を行う方針とするも,胸腔鏡検査で悪性胸水と腫瘍の胸膜浸潤を認めたため,切除不能と判断した.化学療法は希望せず緩和治療となった.術後約2カ月目には局所再発病変を認め,肺転移巣も急速に増大し,術後約3カ月目に永眠した.今回,われわれは術後数カ月で急速な増大を示した乳腺巨大悪性葉状腫瘍の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1964