Sistrunk法で切除した甲状舌管癌の1例

甲状舌管囊胞からは,稀に悪性腫瘍が発生する。われわれは甲状舌管囊胞に由来すると考えられた乳頭癌症例を経験した。症例は42歳女性で,5年前に自覚し増大傾向のある左前頸部腫瘤を主訴に受診した。左前頸部に20mm大の可動性良好な腫瘤を認め,エコーでは頭側は舌骨まで,尾側は甲状腺錐体葉まで索状物が連続していた。穿刺吸引細胞診で乳頭癌の所見を認め,甲状舌管癌と診断した。甲状腺癌の併発や頸部や遠隔への転移を疑う所見はなく,Sistrunk法で舌骨体部中央を含めて切除した。術後診断で切除断端陰性であったが,喉頭前リンパ節に転移を認めた。術後12か月現在,再発せずに経過している。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 30; no. 3; pp. 427 - 431
Main Authors 山下, 拓, 宮本, 俊輔, 加納, 孝一, 堤, 翔平, 古木, 綾子, 籾山, 香保, 松木, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.30.427

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Summary:甲状舌管囊胞からは,稀に悪性腫瘍が発生する。われわれは甲状舌管囊胞に由来すると考えられた乳頭癌症例を経験した。症例は42歳女性で,5年前に自覚し増大傾向のある左前頸部腫瘤を主訴に受診した。左前頸部に20mm大の可動性良好な腫瘤を認め,エコーでは頭側は舌骨まで,尾側は甲状腺錐体葉まで索状物が連続していた。穿刺吸引細胞診で乳頭癌の所見を認め,甲状舌管癌と診断した。甲状腺癌の併発や頸部や遠隔への転移を疑う所見はなく,Sistrunk法で舌骨体部中央を含めて切除した。術後診断で切除断端陰性であったが,喉頭前リンパ節に転移を認めた。術後12か月現在,再発せずに経過している。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.30.427