研修病院における臨床研究とその支援体制
EBM(Evidence-based Medicine)を実践し患者ケアの質を改善するためには,医療現場で行われる臨床研究が必要不可欠である.臨床研究の対象は個性や感情を持つ"まるごとの人間"であるため,日常診療に軸足を置いた臨床医でなければ質の高い臨床研究は不可能であり,臨床医の果たすべき役割は大きい.しかし,日本の大学医学部では臨床研究に対するインセンティブが低く,臨床研究者を養成する体系的な教育システムを整えてこなかったため,欧米に比べ臨床研究者は極めて少ない.また,全国調査によって大部分の研修医が臨床研究活動は必修であると回答し,研修全体の満足度との関連性も示唆され...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 99; no. 7; pp. 1662 - 1670 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.99.1662 |
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Summary: | EBM(Evidence-based Medicine)を実践し患者ケアの質を改善するためには,医療現場で行われる臨床研究が必要不可欠である.臨床研究の対象は個性や感情を持つ"まるごとの人間"であるため,日常診療に軸足を置いた臨床医でなければ質の高い臨床研究は不可能であり,臨床医の果たすべき役割は大きい.しかし,日本の大学医学部では臨床研究に対するインセンティブが低く,臨床研究者を養成する体系的な教育システムを整えてこなかったため,欧米に比べ臨床研究者は極めて少ない.また,全国調査によって大部分の研修医が臨床研究活動は必修であると回答し,研修全体の満足度との関連性も示唆されたことより,研修病院での臨床研究教育・支援の重要性が増している.臨床研究の推進には,臨床研究に関する意識改革と臨床研究の方法論を習得した人材の育成確保に加え,臨床研究支援部門の設置が有用である.研修病院において,研修医を含めた全医療従事者に対する臨床研究サポートの体制整備が喫緊の課題である. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.99.1662 |