マンモグラフィ検診で精査となった石灰化症例をどのように扱うか
マンモグラフィ(MMG)検診の拡がりとともに石灰化で精査となる症例数も増加傾向にあるが,精査後の経過観察間隔は各医療機関でさまざまである。当院は,熊本市乳がん検診実施医療機関であると同時に,熊本県の精検施設としても登録されている。その特性を生かし,当院で経験したカテゴリー(CAT)3以上の石灰化症例について検討を行った。対象は,平成20年4月~24年5月に,当院へ精査紹介または当院の検診にて発見されたCAT3以上の石灰化症例346例(紹介症例のうち精査MMGでCAT2以下と診断したものを除く),経過観察期間は最長4年,初診時の細胞診・組織診にて乳癌と診断されたのは46例(CAT3:15例,CA...
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Published in | 日本乳癌検診学会誌 Vol. 22; no. 2; pp. 282 - 287 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0918-0729 1882-6873 |
DOI | 10.3804/jjabcs.22.282 |
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Summary: | マンモグラフィ(MMG)検診の拡がりとともに石灰化で精査となる症例数も増加傾向にあるが,精査後の経過観察間隔は各医療機関でさまざまである。当院は,熊本市乳がん検診実施医療機関であると同時に,熊本県の精検施設としても登録されている。その特性を生かし,当院で経験したカテゴリー(CAT)3以上の石灰化症例について検討を行った。対象は,平成20年4月~24年5月に,当院へ精査紹介または当院の検診にて発見されたCAT3以上の石灰化症例346例(紹介症例のうち精査MMGでCAT2以下と診断したものを除く),経過観察期間は最長4年,初診時の細胞診・組織診にて乳癌と診断されたのは46例(CAT3:15例,CAT4:21例,CAT5:10例)だった。14例が経過観察中に乳癌と診断され,診断までの平均期間は17.9カ月(8~48カ月)だった。経過観察中に石灰化が減少・消失したのは14例だった。診断のためステレオガイド下マンモトーム®生検を施行したのは5例(乳癌1),MRIはscrelosing adenosisを伴う4例に施行したが,良悪性の診断は得られなかった。当院での経過観察方針は,精査MMGにて石灰化を認めない,あるいは良性と判断した場合は1年後,CAT3以上で悪性でない場合は初回6カ月後,その後変化なければ6カ月毎,石灰化が減少・消失した場合は1年毎である。今回,前癌状態と言われているatypical ductal hyperplasia症例でも発見までに30カ月を要し,経過中に乳癌と診断された14例中12例が早期症例だった。以上より受診間隔の延長が可能なことが示唆された。 |
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ISSN: | 0918-0729 1882-6873 |
DOI: | 10.3804/jjabcs.22.282 |