2年8カ月再発を認めていない大腸未分化癌の1例

症例は84歳の女性で,食欲低下と便通異常,体重減少を訴えて当院受診した.腹部CTで回盲部に不整な壁肥厚病変と口側回腸の拡張を認め,盲腸癌による腸閉塞が疑われた.下部消化管内視鏡では盲腸腸管内腔に突出する腫瘍を認め,生検結果で低分化型腺癌と診断し,腹腔鏡下右結腸切除術を行った.肉眼的病理所見で盲腸を主病変とする45×50mm大の5型腫瘍を認め,消化管内腔が狭窄していた.病理組織所見で分化傾向を示さない類円形で小型な細胞の充実性増殖を認め,免疫組織染色で神経内分泌傾向を示さなかったため,大腸未分化癌と診断された.術後32カ月経過した現在でも再発を認めていない. 大腸未分化癌は極めてまれな疾患で,悪...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 10; pp. 2812 - 2816
Main Authors 熊谷, 健太, 柏木, 宏之, 門間, 英二, 野末, 睦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:症例は84歳の女性で,食欲低下と便通異常,体重減少を訴えて当院受診した.腹部CTで回盲部に不整な壁肥厚病変と口側回腸の拡張を認め,盲腸癌による腸閉塞が疑われた.下部消化管内視鏡では盲腸腸管内腔に突出する腫瘍を認め,生検結果で低分化型腺癌と診断し,腹腔鏡下右結腸切除術を行った.肉眼的病理所見で盲腸を主病変とする45×50mm大の5型腫瘍を認め,消化管内腔が狭窄していた.病理組織所見で分化傾向を示さない類円形で小型な細胞の充実性増殖を認め,免疫組織染色で神経内分泌傾向を示さなかったため,大腸未分化癌と診断された.術後32カ月経過した現在でも再発を認めていない. 大腸未分化癌は極めてまれな疾患で,悪性度が高く,長期生存例はほとんど報告されていない.今回われわれは,比較的早期に診断され,根治切除可能であった症例を経験したため若干の考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2812