肝癌の再発予防について
肝細胞癌は手術やラジオ波治療等により根治的療法を行っても年率10~20%程度,再発することが知られている.2年以内の早期再発は肝内転移再発が中心であり,2年以降の晩期再発は多中心性再発が多いということも一般に知られている.肝癌の根治後の再発を制御することは肝細胞癌患者の予後を向上する上では不可欠である.現在まで開発中の製剤としてはインターフェロン,レチノイド,あるいは血管新生阻害薬の分子標的薬等が検討されているが,臨床で最も行われているのはインターフェロンによる再発抑制,予後改善の試みである.インターフェロンによる再発抑制,予後改善の論文はRCTで8編が報告され,case control st...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 97; no. 7; pp. 1681 - 1689 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.97.1681 |
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Summary: | 肝細胞癌は手術やラジオ波治療等により根治的療法を行っても年率10~20%程度,再発することが知られている.2年以内の早期再発は肝内転移再発が中心であり,2年以降の晩期再発は多中心性再発が多いということも一般に知られている.肝癌の根治後の再発を制御することは肝細胞癌患者の予後を向上する上では不可欠である.現在まで開発中の製剤としてはインターフェロン,レチノイド,あるいは血管新生阻害薬の分子標的薬等が検討されているが,臨床で最も行われているのはインターフェロンによる再発抑制,予後改善の試みである.インターフェロンによる再発抑制,予後改善の論文はRCTで8編が報告され,case control studyの論文も6編報告されている.この14編の論文から結論付けられることは少量で長期,特に48週だけでなく,2年以上,可能な限り投与を続ける維持療法が1回目再発をやや遅らせ,2回目,3回目再発を抑制し,最終的には予後の向上につながるものと考えられる.今後レチノイドや,分子標的薬による大規模臨床試験の結果も多いに期待されるところである. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.97.1681 |