分子生物学:馬クロモグラニンA遺伝子のクローニングおよび内分泌腺と外分泌腺における発現
クロモグラニンA(CGA)は副腎髄質クロム親和性細胞,神経およびパラニューロン組織の細胞においてカテコラミン類やその他の分泌物質と共に存在し,共に放出されることが知られている酸性タンパク質の1つである.最近,CGAはストレスマーカーの1つとして臨床応用が期待されているが,その生理活性機能に関しては,まだよく解っていない.今回我々は,馬CGA遺伝子のcDNA塩基配列をRT−PCRおよびRACE法を用いて決定した.全長1,828 bpの塩基配列から,18個のシグナルペプチドを含む448個のアミノ酸残基からなる馬CGAアミノ酸配列を明らかにした.この馬CGAアミノ酸配列とヒト,牛,マウス,ラットおよ...
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Published in | Journal of Veterinary Medical Science Vol. 62; no. 9; pp. 953 - 959 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本獣医学会
2000
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Summary: | クロモグラニンA(CGA)は副腎髄質クロム親和性細胞,神経およびパラニューロン組織の細胞においてカテコラミン類やその他の分泌物質と共に存在し,共に放出されることが知られている酸性タンパク質の1つである.最近,CGAはストレスマーカーの1つとして臨床応用が期待されているが,その生理活性機能に関しては,まだよく解っていない.今回我々は,馬CGA遺伝子のcDNA塩基配列をRT−PCRおよびRACE法を用いて決定した.全長1,828 bpの塩基配列から,18個のシグナルペプチドを含む448個のアミノ酸残基からなる馬CGAアミノ酸配列を明らかにした.この馬CGAアミノ酸配列とヒト,牛,マウス,ラットおよびカエルのCGAアミノ酸配列を比較したところ,中央部分(78−313)に種差が認められるのに対して,NH2末端部分(1−77)およびCOOH末端部分(314−430)において高い相同性が認められた.またアミノ酸切断部位と考えられている2つの塩基性アミノ酸が並んで存在している部分の保存性も確認された.さらに,ノーザンブロッティングとRT−PCRにより馬CGA mRNAの組織分布を調べた結果,副腎髄質組織のみならず神経組織および他の内分泌組織や外分泌組織においても発現が確認された.またIn situ hybridizationによって副腎髄質,下垂体前葉および中葉の細胞が発現していることを確認した.今回解読した馬CGA塩基配列は,今後CGAの生理活性機能や生体内動態を解明する上で有用である. |
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ISSN: | 0916-7250 1347-7439 |
DOI: | 10.1292/jvms.62.953 |