全身症状を伴わない脱毛症を呈したポメラニアンにおける副腎の臨床病理学的および形態学的検討
全身症状を伴わない汎発性脱毛症のポメラニアンに対して, 臨床病理学的および皮膚病理組織学的検討と共に副腎のMRI検査を実施した。罹患例51例を本試験に供したが, 全例が短頭種型であった。諸検査を施行し, 一部の症例でPCV, ALT, AST, ALP, 血糖の軽度上昇, ACTH負荷試験による軽度の過反応, 低用量デキサメタゾン抑制試験における抑制障害がみられた。TSH刺激試験に異常はみられなかった。皮膚病理組織学的検査施行18例すべてで軽度の表皮萎縮, 角質肥厚, 毛包萎縮, 皮下脂肪織の肥厚がみられた。MRI検査を罹患例14例と健常犬3例に施行したが, 両者に副腎の平均長径, 短径, 厚...
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Published in | 獣医臨床皮膚科 Vol. 11; no. 3; pp. 115 - 120 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
日本獣医皮膚科学会
2005
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Subjects | |
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Summary: | 全身症状を伴わない汎発性脱毛症のポメラニアンに対して, 臨床病理学的および皮膚病理組織学的検討と共に副腎のMRI検査を実施した。罹患例51例を本試験に供したが, 全例が短頭種型であった。諸検査を施行し, 一部の症例でPCV, ALT, AST, ALP, 血糖の軽度上昇, ACTH負荷試験による軽度の過反応, 低用量デキサメタゾン抑制試験における抑制障害がみられた。TSH刺激試験に異常はみられなかった。皮膚病理組織学的検査施行18例すべてで軽度の表皮萎縮, 角質肥厚, 毛包萎縮, 皮下脂肪織の肥厚がみられた。MRI検査を罹患例14例と健常犬3例に施行したが, 両者に副腎の平均長径, 短径, 厚さの差異を認めず, 下垂体異常もみられなかった。以上より, 副腎過形成を誘導する副腎ステロイド合成異常の病因的関与は否定的と考えられた。本症罹患犬は, 先天的副腎機能的異常よりも, 全身症状を発症しない脱毛症を呈す種もしくは家系特異的な生理学的ホルモン素因を有していると推察された。 |
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ISSN: | 1347-6416 1881-2236 |
DOI: | 10.2736/jjvd.11.115 |