介護老人保健施設入所者の補聴器試聴 第一報 補聴器装用の効果
要旨: 要介護難聴高齢者の補聴器装用効果の解明を目的とした。 介護老人保健施設入所中の高齢難聴者48例を, 良聴耳聴力 (50dB 以上と 49dB 以下) と MMSE 得点 (20以上と19以下) を層別項目としてランダム化し, 試聴群24例 (年齢84±7.5歳, 聴力47±13dB, MMSE 16±7.5点) と対照群24例とした。 試聴群に対し4か月の補聴器試聴を行い, 試聴開始3か月後に再度MMSE検査を行った。 試聴結果は安定装用5例, 延長5例, 変動3例, 低迷3例, 中断3例, 装用拒否5例に分類された。 装用後の聞こえの変化を24例中18例が自覚し, また18例の対音反...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 61; no. 1; pp. 90 - 96 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.02.2018
日本聴覚医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0303-8106 1883-7301 |
DOI | 10.4295/audiology.61.90 |
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Summary: | 要旨: 要介護難聴高齢者の補聴器装用効果の解明を目的とした。 介護老人保健施設入所中の高齢難聴者48例を, 良聴耳聴力 (50dB 以上と 49dB 以下) と MMSE 得点 (20以上と19以下) を層別項目としてランダム化し, 試聴群24例 (年齢84±7.5歳, 聴力47±13dB, MMSE 16±7.5点) と対照群24例とした。 試聴群に対し4か月の補聴器試聴を行い, 試聴開始3か月後に再度MMSE検査を行った。 試聴結果は安定装用5例, 延長5例, 変動3例, 低迷3例, 中断3例, 装用拒否5例に分類された。 装用後の聞こえの変化を24例中18例が自覚し, また18例の対音反応の変化を ST が認識した。 装用後の行動変化を介護職員が認識したのは5例に限られた。 MMSE 得点は, 試聴群, 対照群とも試聴前後で差がなく, また試聴後の群間比較でも差がなく, 試聴の認知機能に対する効果は明らかでなかった。 この結果には生活環境の制限が関与していると推察され, より活動性の高い在宅の要介護高齢者に関する調査の必要性が示唆された。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.61.90 |