声帯内注入材料に関する基礎的研究 免疫組織化学的検討

「はじめに」 Brunings1)にはじまった声帯内注入術は, 非観血的vocal rehabilitationとして, 注入法や注入物質の変遷を繰り返しながら現在に至っている. たとえば, 注入経路は, 関接喉頭鏡下, 直達鏡下, 喉頭顕微鏡下2), 経皮3, 4)ファイバースコープ下5)など, 症例に応じて, 選択することが可能である. しかし, 注入材料については, 多くの報告があるにもかかわらず, 未だ理想的な物質がないといわれている. 最近まで, 欧米ではテフロンが, 本邦ではシリコンが使用されてきたが, 注入後の組織内での変化に問題があり, これらに代わって, コラーゲンの使用が普...

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Published in喉頭 Vol. 6; no. 2; pp. 122 - 129
Main Authors 田村, 悦代, 北原, 哲, 野原, 理, 中之坊, 学, 井上, 鐵三, 古川, 太一, 佐藤, 道哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 1994
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.6.2_122

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Summary:「はじめに」 Brunings1)にはじまった声帯内注入術は, 非観血的vocal rehabilitationとして, 注入法や注入物質の変遷を繰り返しながら現在に至っている. たとえば, 注入経路は, 関接喉頭鏡下, 直達鏡下, 喉頭顕微鏡下2), 経皮3, 4)ファイバースコープ下5)など, 症例に応じて, 選択することが可能である. しかし, 注入材料については, 多くの報告があるにもかかわらず, 未だ理想的な物質がないといわれている. 最近まで, 欧米ではテフロンが, 本邦ではシリコンが使用されてきたが, 注入後の組織内での変化に問題があり, これらに代わって, コラーゲンの使用が普及し始めた6, 7). 当初使用されていた未架橋型注入用コラーゲンは組織内における安定性にやや問題があり, 欧米では線維構造が保持しやすいという点で, 架橋型注入用コラーゲンの使用が始まっている8). われわれも, 本邦で開発された架橋型注入用コラーゲンをマウスの筋肉内に注入して, その組織反応を経時的に観察し, 既に第45回日本気管食道科学会および第6回日本喉頭科学会にて報告した.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.6.2_122