剣道における打突が人体の頭部に及ぼす影響について―ダミーを用いたシミュレーション実験

本研究は,剣道において面や突きなどを打突された際に,剣道具(面)をとおして人体の頭部に伝達される衝撃力について,バイオメカニクス的観点から明らかにするために,打撃用ダミー人形や被験者への実戦的な打突が頭部へ及ぼす力学量(加速度)を計測し,頭部の安全性についてJARIの人体頭部耐性曲線を元に検討することを目的とした。 得られた結果をまとめると以下の通りである。1.一足一刀の間合からの面打撃は,加速度レベルが低いため,加速度による傷害発生の可能性が3種類(MA:その場から,MB:送り足で,MC:一足一刀の間合から)の打ち込み条件の中では最も低かった。 2.頭部への一回の打撃により頭蓋骨々折・脳震盪...

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Published in武道学研究 Vol. 37; no. 3; pp. 1 - 11
Main Authors 百鬼, 史訓, 久保, 哲也, 横山, 直也, 山神, 眞一, 有田, 祐二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本武道学会 2005
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ISSN0287-9700
2185-8519
DOI10.11214/budo1968.37.3_1

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Summary:本研究は,剣道において面や突きなどを打突された際に,剣道具(面)をとおして人体の頭部に伝達される衝撃力について,バイオメカニクス的観点から明らかにするために,打撃用ダミー人形や被験者への実戦的な打突が頭部へ及ぼす力学量(加速度)を計測し,頭部の安全性についてJARIの人体頭部耐性曲線を元に検討することを目的とした。 得られた結果をまとめると以下の通りである。1.一足一刀の間合からの面打撃は,加速度レベルが低いため,加速度による傷害発生の可能性が3種類(MA:その場から,MB:送り足で,MC:一足一刀の間合から)の打ち込み条件の中では最も低かった。 2.頭部への一回の打撃により頭蓋骨々折・脳震盪といった傷害が生じるレベルには達していない。しかし,慢性硬膜下血腫の発症との関連も心配されることから,連続的な衝撃や長年にわたる衝撃の影響について,今後検討する必要があると考える。 3.突き動作では加速度レベルが低いため,加速度による頭部の傷害発生の可能性は低いと考えられる。
ISSN:0287-9700
2185-8519
DOI:10.11214/budo1968.37.3_1