治療抵抗性の肝不全・血球貧食症候群を呈し,剖検にて肝脾T細胞リンパ腫と診断された1例

症例は84才女性.発熱・関節痛を主訴として近医受診.抗生物質の投与を受けるも改善無く,プレドニゾロン10 mg/dayの内服を開始した.一旦症状は軽快したが,その後の定期採血にてAST,ALTの著増が認められ,薬物性肝障害疑いで当院へ紹介受診となった.入院時の理学所見としては眼球結膜の黄染が認められた.当院入院時の採血ではT.Bil 4.16 mg/dl,AST 1209 IU/L,ALT 1110 IU/Lであった.入院後の肝生検をはじめとする各種検査では薬物性肝障害として矛盾しない所見が得られ,ステロイドパルス療法を施行した.しかしその後も肝不全は進行,最終的には血球貪食症候群も併発し,全...

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 1; pp. 28 - 34
Main Authors 大島, 孝一, 草野, 弘宣, 矢野, 博久, 近藤, 礼一郎, 鹿毛, 政義, 檜垣, 浩一, 酒井, 輝文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.28

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Summary:症例は84才女性.発熱・関節痛を主訴として近医受診.抗生物質の投与を受けるも改善無く,プレドニゾロン10 mg/dayの内服を開始した.一旦症状は軽快したが,その後の定期採血にてAST,ALTの著増が認められ,薬物性肝障害疑いで当院へ紹介受診となった.入院時の理学所見としては眼球結膜の黄染が認められた.当院入院時の採血ではT.Bil 4.16 mg/dl,AST 1209 IU/L,ALT 1110 IU/Lであった.入院後の肝生検をはじめとする各種検査では薬物性肝障害として矛盾しない所見が得られ,ステロイドパルス療法を施行した.しかしその後も肝不全は進行,最終的には血球貪食症候群も併発し,全経過約2カ月で永眠された.剖検では肝臓・脾臓・骨髄に著明な血球貧食像とともに異型Tリンパ球の出現が認められ,肝脾T細胞リンパ腫と診断した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.28