腹壁瘢痕ヘルニア修復術後9年4カ月で発症したメッシュ感染の1例

症例は67歳,女性.12年前に結腸部分切除後の穿孔性腹膜炎に対し左半結腸切除術を施行した.術後19カ月目に正中創の腹壁瘢痕ヘルニアに対しComposix® Kugel Hernia Patch(CKP)を用いて修復術を施行した.ヘルニア修復術後9年4カ月目に腹痛を主訴に当科を受診し,精査の結果メッシュ感染と診断した.遅発性の感染であり,小腸との癒着による瘻孔形成も否定できないことから早期のメッシュ摘出を優先し,診断後6日目に手術を施行した.パッチと小腸に癒着はなく,小腸との瘻孔形成も認めなかった.メッシュを摘出し,腹壁は筋膜の縫合閉鎖で修復した.術後経過良好で,退院後1年経過した現在もヘルニア...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 10; pp. 2929 - 2934
Main Authors 畠, 達夫, 渡辺, 和宏, 佐藤, 好宏, 海野, 倫明, 坂田, 直昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.2929

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Summary:症例は67歳,女性.12年前に結腸部分切除後の穿孔性腹膜炎に対し左半結腸切除術を施行した.術後19カ月目に正中創の腹壁瘢痕ヘルニアに対しComposix® Kugel Hernia Patch(CKP)を用いて修復術を施行した.ヘルニア修復術後9年4カ月目に腹痛を主訴に当科を受診し,精査の結果メッシュ感染と診断した.遅発性の感染であり,小腸との癒着による瘻孔形成も否定できないことから早期のメッシュ摘出を優先し,診断後6日目に手術を施行した.パッチと小腸に癒着はなく,小腸との瘻孔形成も認めなかった.メッシュを摘出し,腹壁は筋膜の縫合閉鎖で修復した.術後経過良好で,退院後1年経過した現在もヘルニアの再発を認めていない.腹腔内留置型の人工補強物使用例では小腸との癒着や瘻孔形成を伴わない遅発性感染が起こりうること念頭に置き,また診断後早期のメッシュ摘出は全治療期間短縮のために考慮されるべき治療法と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2929