生化学:牛脂肪組織血管間質細胞の初代培養における脂肪細胞分化に対する脂質関連因子の効果

牛脂肪組織由来血管間質細胞の初代培養系を用いて,主に脂質に関連する因子の脂肪細胞分化に及ぼす影響を調べた.脂肪細胞分化はGlycerol−3−phosphate dehydrogenase(GPDH)活性と顕微鏡による形態学的観察により検討した.中性脂質,カプリル酸および超低密度,低密度および高密度リポタンパク(VLDL,LDLおよびHDL)は無血清条件下において,脂肪細胞分化を促進した.特にVLDLは脂肪細胞の増殖と分化の両者を促進した.皮下脂肪組織由来細胞は中性脂質誘導条件下において,大網脂肪組織由来細胞より顕著に分化したが,peroxisome proliferator−activate...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 62; no. 9; pp. 933 - 939
Main Authors 佐藤, 耕太, 鈴田, 史子, 篭田, 勝基, 呉, 培星, 日笠, 喜朗
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 2000
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.62.933

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Summary:牛脂肪組織由来血管間質細胞の初代培養系を用いて,主に脂質に関連する因子の脂肪細胞分化に及ぼす影響を調べた.脂肪細胞分化はGlycerol−3−phosphate dehydrogenase(GPDH)活性と顕微鏡による形態学的観察により検討した.中性脂質,カプリル酸および超低密度,低密度および高密度リポタンパク(VLDL,LDLおよびHDL)は無血清条件下において,脂肪細胞分化を促進した.特にVLDLは脂肪細胞の増殖と分化の両者を促進した.皮下脂肪組織由来細胞は中性脂質誘導条件下において,大網脂肪組織由来細胞より顕著に分化したが,peroxisome proliferator−activated receptor γ(PPARγ)リガンドであるインドメタシンにより分化誘導を行った場合,その差は認められなかった.このことから,牛脂肪細胞の脂質からの内因性PPARγリガンド産生能は部位により異なり,分化能に部位差があることが示唆された.これらの結果から,脂質およびリポタンパクは牛脂肪前駆細胞培養系における脂肪細胞分化を促進することが明らかになり,生体においてこれらの因子が牛脂肪組織の形成に重要な役割を果たすことが示唆された.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.62.933