2病院で発生したSerratiaによる病院内集団感染及び患者由来Serratiaの比較検討
1999年7月および2002年1月に都内の2病院 (AおよびB) でSerratiaによる病院内集団感染が発生した. A病院の事例では発症者10名でそのうち5名が死亡した. 発症者は発熱, 血圧低下, 出血傾向の症状を呈し, 発症者10名の血液からSerratia marcescensが分離された. A病院内で分離されたS. marcescens21株 は, 各種性状試験, 遺伝子解析等の結果9グループに分類された. 10名の発症者から分離された株は同一グループと決定された. B病院の事例では13日の間に24人の入院患者が発熱し, そのうち7名が死亡した.発熱患者12名の血液などからS. ma...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 295 - 304 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.04.2004
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.295 |
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Summary: | 1999年7月および2002年1月に都内の2病院 (AおよびB) でSerratiaによる病院内集団感染が発生した. A病院の事例では発症者10名でそのうち5名が死亡した. 発症者は発熱, 血圧低下, 出血傾向の症状を呈し, 発症者10名の血液からSerratia marcescensが分離された. A病院内で分離されたS. marcescens21株 は, 各種性状試験, 遺伝子解析等の結果9グループに分類された. 10名の発症者から分離された株は同一グループと決定された. B病院の事例では13日の間に24人の入院患者が発熱し, そのうち7名が死亡した.発熱患者12名の血液などからS. marcescensが分離された. B病院で分離されたS. marcescens 17株は, 各種性状試験, 遺伝子解析等の結果3グループに分類された。12名の発症者から分離された株は同一グループもしくは極めて近縁グループと決定された. これらの結果から2事例がS. marcescensによる病院内集団感染であることが判明した. この2事例は, 感染経路の特定は出来なかったが, 短期間に多くの患者が集中発生したことから, 点滴等を介し患者の血管内に直接菌が侵入した感染ルートが推定された. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.295 |