マイクロプレートを用いた微量液体希釈法でのHelicobacter pylori薬剤感受性試験におけるCO2培養条件の検討

32症例の上部消化管疾患患者より分離した32株のHelicobacter pylori菌株を用い, clarithromycin (CAM) のMICを5%CO2濃度と15%CO2濃度の各培養条件下でマイクロプレートを用いた微量液体希釈法にて測定した. 全ての菌株において15%CO2濃度のMIC値は5%CO2濃度のMIC値より高値を示した. また, 培養中の培地pHは, 15%CO2濃度では明らかに低下が認められたが, 5%CO2濃度ではpHの変化は小さかった. これらの結果から, マイクロプレートを用いた微量液体希釈法でのH. pylori薬剤感受性試験としては, 5%CO2濃度でのMIC測...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 73; no. 6; pp. 565 - 569
Main Authors 宍戸, 秀喜, 宇田川, 宏和, 伊藤, 武, 星谷, 聡, 高橋, 信一, 新垣, 正夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.1999
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.565

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Summary:32症例の上部消化管疾患患者より分離した32株のHelicobacter pylori菌株を用い, clarithromycin (CAM) のMICを5%CO2濃度と15%CO2濃度の各培養条件下でマイクロプレートを用いた微量液体希釈法にて測定した. 全ての菌株において15%CO2濃度のMIC値は5%CO2濃度のMIC値より高値を示した. また, 培養中の培地pHは, 15%CO2濃度では明らかに低下が認められたが, 5%CO2濃度ではpHの変化は小さかった. これらの結果から, マイクロプレートを用いた微量液体希釈法でのH. pylori薬剤感受性試験としては, 5%CO2濃度でのMIC測定が, 有用であると示唆された. さらに, proton pump inhibitor (PPI), CAM, amoxicillin (AMPC) を用いた除菌治療の結果から, 5%CO2濃度のMICが0.03μg/mlと低値であったが, 15%CO2濃度で16μg/mlと高値を示した1症例で除菌が成功しており, また除菌成功例22症例において, 5%CO2濃度のMICが15%CO2濃度のMICより低値を示していることから, 5%CO2濃度での測定の有用性が示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.565