寒冷凝集素性溶血性貧血を合併したマイコプラズマ肺炎の1例

マイコプラズマ肺炎の経過中, 寒冷凝集素によると思われる溶血性貧血を合併した一例を経験した. 症例は16歳女性で, 咳噺, 喀痰, 発熱にて来院した. 胸部X線写真にて, 左中下肺野に浸潤陰影を認め肺炎として入院した. マイコプラズマ抗体価の上昇よりマイコプラズマ肺炎と診断した. 第5病日には寒冷凝集素価131,072倍と著明な上昇と採血後に室温下で赤血球の凝集が観察され同時に溶血性貧血を認めた. 寒冷凝集素価の上昇と経過を同じくして溶血性貧血が認められたこと, 直接, 間接クームス試験陽性, 血清補体価の低下, IgMがPolyclonalで寒冷凝集素が抗1抗体活性を示したことなどから, 本...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 701 - 706
Main Authors 江村, 武志, 江畑, 浩之, 谷川, 久一, 吉田, 博, 福原, 啓介, 岩井, 一郎, 犬塚, 貞孝, 松崎, 雅, 入江, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1986
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.701

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Summary:マイコプラズマ肺炎の経過中, 寒冷凝集素によると思われる溶血性貧血を合併した一例を経験した. 症例は16歳女性で, 咳噺, 喀痰, 発熱にて来院した. 胸部X線写真にて, 左中下肺野に浸潤陰影を認め肺炎として入院した. マイコプラズマ抗体価の上昇よりマイコプラズマ肺炎と診断した. 第5病日には寒冷凝集素価131,072倍と著明な上昇と採血後に室温下で赤血球の凝集が観察され同時に溶血性貧血を認めた. 寒冷凝集素価の上昇と経過を同じくして溶血性貧血が認められたこと, 直接, 間接クームス試験陽性, 血清補体価の低下, IgMがPolyclonalで寒冷凝集素が抗1抗体活性を示したことなどから, 本症例はマイコプラズマ肺炎に合併した, いわゆるColcl typeの寒冷凝集素による免疫溶血性貧血と診断した. 溶血性貧血は寒冷曝露を避けることにより改善したが, 寒冷凝集素価は, 14ヵ月後でも, 2,048倍の高値を持続している.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.701