急性リンパ性白血病に合併したTrichosporon cutaneum全身感染症の1例

急性リンパ性白血病の経過中にTrichosporon cutaneumによる全身感染症を惹起し, 死亡した1症例を経験したので報告する.症例は39歳の男で, 化学療法にて著明に白血球が減少した際に, 発熱及び胸写上のびまん性スリガラス状陰影が出現し, 呼吸不全にて死亡した.生前の静脈血と剖検肺の培養にてT. cutaneumを分離し, 病理標本にて肺, 肝, 脾に本菌の菌糸からなる結節性病変を多数認めたことより, T. cutaneumの血行性散布による全身感染症と診断した.また, 本例の分離株のAMPHと5-FCに対するMICは各々, 50μg/mlと100μg/ml以上であり, 完全耐性を...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 61; no. 3; pp. 362 - 367
Main Authors 島津, 和泰, 紫藤, 忠博, 木村, 圭志, 佐藤, 昌彦, 佐々木, 康雄, 安藤, 正幸, 菅, 守隆, 荘田, 恭聖, 坂田, 哲宜, 吉田, 和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1987
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Summary:急性リンパ性白血病の経過中にTrichosporon cutaneumによる全身感染症を惹起し, 死亡した1症例を経験したので報告する.症例は39歳の男で, 化学療法にて著明に白血球が減少した際に, 発熱及び胸写上のびまん性スリガラス状陰影が出現し, 呼吸不全にて死亡した.生前の静脈血と剖検肺の培養にてT. cutaneumを分離し, 病理標本にて肺, 肝, 脾に本菌の菌糸からなる結節性病変を多数認めたことより, T. cutaneumの血行性散布による全身感染症と診断した.また, 本例の分離株のAMPHと5-FCに対するMICは各々, 50μg/mlと100μg/ml以上であり, 完全耐性を示した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.61.362