感染性腸炎に対するLomefloxacin (LFLX, NY-198) とPipemidic acid (PPA) の二重盲検法による治療効果の比較検討

ニューキノロン系抗菌剤Lomefloxacin (LFLX, NY-198) の感染性腸炎 (細菌性赤痢, 病原大腸菌腸炎, カンピロバクター腸炎など) に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, Pipemidicacid (PPA) を対照薬とする二重盲検法により比較検討した. 治験薬の1日投与量はLFLX: 600mg, PPA: 2,000mgで, 1日4回毎食後および就寝前に経口投与とし, 投与期間は5日間とした. 総投与症例数は290例で, 除外, 脱落例を除き有効性および有用性の評価対象例は169例 (LFLX群: 83例, PPA群: 86例) であり, い...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 63; no. 6; pp. 606 - 622
Main Authors 青木, 隆一, 清水, 長世, 冨沢, 功, 滝沢, 慶彦, 松原, 義雄, 新田, 義朗, 相楽, 裕子, 瀬尾, 威久, 金久, 直子, 村田, 三紗子, 増田, 剛太, 根岸, 昌功, 楊, 振典, 今川, 八束, 大西, 健児, 山口, 剛, 辻, 正周, 細谷, 純一郎, 星野, 重二, 天野, 冨貴子, 中村, 千衣, 村元, 章, 小林, 祥男, 今井, 千尋, 金, 龍起, 赤尾, 満, 藤堂, 彰男, 伊吹, 康良, 小森, 英司, 冨田, 周介, 樫田, 博史, 相坂, 忠一, 新美, 正信, 中村, 正義, 松尾, 利子, 斎藤, 誠, 中谷, 林太郎, 堀内, 三吉, 稲垣, 好雄, 高野, 秀子, 後藤, 延一, 小林, 芳夫, 佐久, 一枝, 竹田, 美文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1989
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Summary:ニューキノロン系抗菌剤Lomefloxacin (LFLX, NY-198) の感染性腸炎 (細菌性赤痢, 病原大腸菌腸炎, カンピロバクター腸炎など) に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, Pipemidicacid (PPA) を対照薬とする二重盲検法により比較検討した. 治験薬の1日投与量はLFLX: 600mg, PPA: 2,000mgで, 1日4回毎食後および就寝前に経口投与とし, 投与期間は5日間とした. 総投与症例数は290例で, 除外, 脱落例を除き有効性および有用性の評価対象例は169例 (LFLX群: 83例, PPA群: 86例) であり, いずれの背景因子においても, 両群間に有意な偏りは認められなかった.また安全性の評価対象例は284例 (LFLX群: 141例, PPA群: 143例) であった. 薬剤投与開始日に症状のあった73例の臨床効果 (有効率) は, LFLX群32/35例 (91.4%), PPA群32/38例 (84.2%) であり, そのうち細菌性赤痢57例においても, LFLX群27/30例 (90.0%), PPA群22/27例 (81.5%) と前者が優れた傾向を示したが, 両群間に有意差は認められなかった. 延菌株数184株に対する細菌学的効果 (有効率) は, LFLX群84/90株 (93.3%), PPA群76/94株 (80.9%) と前者が有意に優れ (p=0.0153), そのうち赤痢菌148株においても, LFLX群71/73株 (97.3%), PPA群59/75株 (78.7%) と前者が有意に優れていた (p=0.0007). 以上を勘案して評価した169例の総合効果 (有効率) は, LFLX群77/83例 (92.8%), PPA群68/86例 (79.1%) と前者が有意に優れ (p=0.0144), そのうち細菌性赤痢134例においても, LFLX群65/67例 (97.0%), PPA群52/67例 (77.6%) と前者が有意に優れていた (p=0.0012). 副作用はLFLX群1/141例 (0.7%), PPA群は0/143例であり, 臨床検査値異常はLFLX群10/132例 (7.6%), PPA群7/136例 (5.1%) に認められたが, すべて軽微なものであり, また発現率では両群間に有意差はなかった. 以上, 有効性と安全性を勘案して評価した169例の有用性 (満足率) は, LFLX群76/83例 (91.6%), PPA群66/86例 (76.7%) と前者が有意に優れ (p=0.0111), そのうち細菌性赤痢134例においても, LFLX群64/67例 (95.5%), PPA群50/67例 (74.6%) と前者が有意に優れていた (p=0.0011). 以上の成績から, LFLXは細菌性赤痢を始めとする感染性腸炎に対し, 臨床上有用な薬剤と考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.606