最近8年間のA群およびB群溶連菌の血清型別推移と薬剤感受性について

京都市立病院において1978年1月から1985年12月までの8年間に分離されたA群溶血レンサ球菌 (以下A群菌と略す) 605株とB群溶血レンサ球菌 (B群菌と略す) 640株の血清型別をおこない流行菌型の年次別推移を検討した. 先ずA群菌は1984年までは年によって多少の変動はあるが12型または4型が最も多く次に1型, 13型の順に多かった. 1985年には'これ等の菌型がすべて減少し, かわって3型が急に増加し, 45.5%を占めるに至った. またB群菌はIa型, III型, Ib型の順に多く首位の交代の見られることもあるがあまり明らかな変化は認められなかった. 次に1983年か...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 489 - 500
Main Authors 金, 龍起, 小林, 祥男, 今井, 千尋, 島田, 能子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1987
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.61.489

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Summary:京都市立病院において1978年1月から1985年12月までの8年間に分離されたA群溶血レンサ球菌 (以下A群菌と略す) 605株とB群溶血レンサ球菌 (B群菌と略す) 640株の血清型別をおこない流行菌型の年次別推移を検討した. 先ずA群菌は1984年までは年によって多少の変動はあるが12型または4型が最も多く次に1型, 13型の順に多かった. 1985年には'これ等の菌型がすべて減少し, かわって3型が急に増加し, 45.5%を占めるに至った. またB群菌はIa型, III型, Ib型の順に多く首位の交代の見られることもあるがあまり明らかな変化は認められなかった. 次に1983年から85年までの3年間に検出された溶連菌のうちA群菌142株, B群菌282株の9薬剤に対する感受性を測定し, 且つ耐性パターンと菌型との関連をしらべた. それによればA群菌, B群菌ともにペニシリン系, セフェム系薬剤に対する耐性菌は見られなかった. またA群菌ではTC耐性とEM, JM, OL耐性菌の出現頻度は菌型によって著明な差異があり, TC耐性は4型, 12型, 13型に多くEM, JM, OL耐性は12型のみに見られた. それに反し, B群菌では菌型による差は明らかではなかった. この8年間に新生児および幼若乳児のB群菌による髄膜炎と敗血症例が7例あったが, 菌型の判明した5例中4例までがIII型にかたよっていた. それに対し, 成人の敗血症例, 健康新生児とその母親からの検出菌には菌型のかたよりは見られなかった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.61.489