感染性腸炎に対するCiprofloxacin (CPFX, BAY o 9867) とPipemidic acid (PPA) の二重盲検法による治療効果の比較検討
新しいピリドンカルボン酸系経口抗菌剤Ciprofloxacin (CPFX, BAYo9867) の感染性腸炎 (細菌性赤痢, カンピロバクター腸炎, 病原大腸菌腸炎など) に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するため, Pipemidic acid (PPA) を対照薬とする二重盲検比較試験を実施した. 投与量は, CPFXは1日300mg (分3), PPAは1日2000mg (分4), 投与期間は5日間とした. 総投与例数は266例 (CPFX群: 134例, PPA群: 132例) で, 効果判定対象153例 (CPFX群: 74例, PPA群: 79例) の症例背景因子...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 62; no. 4; pp. 322 - 339 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
1988
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.322 |
Cover
Summary: | 新しいピリドンカルボン酸系経口抗菌剤Ciprofloxacin (CPFX, BAYo9867) の感染性腸炎 (細菌性赤痢, カンピロバクター腸炎, 病原大腸菌腸炎など) に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するため, Pipemidic acid (PPA) を対照薬とする二重盲検比較試験を実施した. 投与量は, CPFXは1日300mg (分3), PPAは1日2000mg (分4), 投与期間は5日間とした. 総投与例数は266例 (CPFX群: 134例, PPA群: 132例) で, 効果判定対象153例 (CPFX群: 74例, PPA群: 79例) の症例背景因子および分離菌に対するCPFX, PPAのMIC分布について, 両群間に有意差は認められなかった. 対排菌効果;保菌者を含む160例 (複数菌感染例については菌属ごとに1症例として算出: CPFX群78例, PPA群82例) では, CPFX群が有意に優れていた (p < 0.001).著効率はCPFX群78.2%, PPA群40.2%, 有効率はCPFX群96.2%, PPA群87.8%であった.起因菌別にみると, Shigellaに対してはCPFX群が有意に優れ (p < 0.001), 他の菌属の症例では有意差はなかった. 臨床効果;投与開始時に症状のあった67例 (CPFX群35例, PPA群32例) での主治医判定による有効率は, CPFX群97.1%, PPA群90.6%で両群間に有意差は認められなかった. 副作用はCPFX群で2例に, PPA群で1例に, また臨床検査値異常はCPFX群, PPA群ともに14例に認められたが, いずれの発現率にも両群間に有意差はなかった. 主治医による有用性の評価は153例 (CPFX群74例, PPA群79例) について行なわれ, CPFX群が有意に優れていた (p < 0.001).満足率は,「非常に満足」以上でCPFX群52.7%, PPA群26.6%,「満足」以上でCPFX群94.6%, PPA群86.1%であった. 分離されたShigella (CPFX群65株, PPA群69株) に対するMIC分布のピーク値とMIC80値は, CPFXで≦0.025 μg/ml, 0.05 μg/ml, PPAで0.78 μg/ml, 1.56 μg/mlであった. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.322 |