Weil-Felix反応では診断されなかった日本紅斑熱患者血清の免疫学的性質

Wei1-Felix反応のOX2抗原に陰性を示した日本紅斑熱患者 (19名中4名) の血清に対して, リケッチア及びWeil-Felix反応抗原であるプロテウスを抗原としてELISA及びイムノブロットを行った. その結果, 4名の患者全てにおいて, 感染初期血清では既にOX2のLPSに対するIgG抗体を持っており, 回復期血清では, IgM抗体がこのLPSに反応を示さなかった. 一方, OX19-LPSに対する反応性では, 2名の患者血清中のIgM抗体が感染初期に比べて回復期に上昇しており, イムノブロットでも明らかに陽性のバンドを示した. この患者血清はWF反応でもOX19抗原に対して凝集を...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 420 - 425
Main Authors 天野, 憲一, 須藤, 恒久, 馬原, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1995
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Summary:Wei1-Felix反応のOX2抗原に陰性を示した日本紅斑熱患者 (19名中4名) の血清に対して, リケッチア及びWeil-Felix反応抗原であるプロテウスを抗原としてELISA及びイムノブロットを行った. その結果, 4名の患者全てにおいて, 感染初期血清では既にOX2のLPSに対するIgG抗体を持っており, 回復期血清では, IgM抗体がこのLPSに反応を示さなかった. 一方, OX19-LPSに対する反応性では, 2名の患者血清中のIgM抗体が感染初期に比べて回復期に上昇しており, イムノブロットでも明らかに陽性のバンドを示した. この患者血清はWF反応でもOX19抗原に対して凝集を示した. 但し, これらの患者の回復期血清は明らかにRickettsia japonicaのLPSに対しては強い反応性を示している. 以上の成績から, 日本紅斑熱患者がWeil-Felix反応のOX2抗原に陰性を示すのは, リケッチア感染前にOX2株類似プロテウスに感染して, OX2-LPSに対するIgG抗体を持っているためであると考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.420