当科における過去20年間の小児結核症入院例の臨床的検討

1975-1994年の20年間に横浜市大付属病院に入院した小児結核症89例の臨床像の特徴について検討した. 5年毎の年次別入院頻度は1975-1979年が30例, 1980-1984年が28例, 1985-1989年が16例, 1990-1994年が15例と漸減傾向にあった. 年齢分布は3歳以下が50例 (56.2%) と過半数を占め, 特に1歳未満が22例 (24.7%) と高率であった. 病型は軽症型である初期変化群肺結核が46例 (51.7%) と最も多かったが, ついで重症結核 (結核性髄膜炎, 粟粒結核, 骨・関節結核) が18例 (20.2%) と多く, 小児結核症の特徴のひとつと...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 513 - 521
Main Authors 伊部, 正明, 満田, 年宏, 森, 雅亮, 相原, 雄幸, 横田, 俊平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.1997
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.513

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Summary:1975-1994年の20年間に横浜市大付属病院に入院した小児結核症89例の臨床像の特徴について検討した. 5年毎の年次別入院頻度は1975-1979年が30例, 1980-1984年が28例, 1985-1989年が16例, 1990-1994年が15例と漸減傾向にあった. 年齢分布は3歳以下が50例 (56.2%) と過半数を占め, 特に1歳未満が22例 (24.7%) と高率であった. 病型は軽症型である初期変化群肺結核が46例 (51.7%) と最も多かったが, ついで重症結核 (結核性髄膜炎, 粟粒結核, 骨・関節結核) が18例 (20.2%) と多く, 小児結核症の特徴のひとつと考えられた. 特に3歳以下についてみると重症結核が16例 (32.0%) を占め, 乳幼児結核は重症結核に進行しやすい傾向が窺われた. 感染源の検索では判明例は55例 (61.8%) で, このうち両親からの感染発病例は46例 (83.6%) を占め, 家族内感染が高頻度に認められた. BCG接種率は年齢が低くなるにしたがい低下し, 特に0-3歳では14.0%に過ぎなかった. 結核菌の検出は38例 (42.7%) に過ぎず, 特に塗抹標本で証明されたものは15例 (16.9%) であった. 以上の結果から, 小児結核症対策は乳幼児結核の減少を図るべきで, この目的を達成するためには, 1) 乳幼児早期からのBCG接種, 2) 成人検診の励行と検診後の対策・指導, 3) 感染者特定後の家族検診, などの徹底を図る必要があることが示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.513