腹部に巨大紅斑を生じライム病と診断した症例

昭和62年5月下旬, 北海道遠軽で, 両手関節部の発疹と軽度の感冒様症状で受診. 上腕部, 胸部, 腹部の発赤にも気づく, 2日後, 腹部に見られた発赤は急速に遠心性の拡大を示し, 腹部全体に巨大な紅斑を形成する. 色調は鮮紅色であるが, 中央部は淡い傾向があり, 掻痒感は著明でない. 紅斑は第5病日までに徐々に消退した. 5週後の血清をCDC (USA) で検査したところ, Borrelia burgdorferiに対する抗体が有意に上昇しており, ライム病と診断した. 本症例は発病時期が不明確であるが, 極めて急速に経過した症例で, マダニ咬傷の記憶もない. 最近ではマダニ以外の媒介昆虫も...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 500 - 502
Main Authors 佐々, 保壽, 川端, 真人, 井口, 和幸, 河野, 均也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1988
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Summary:昭和62年5月下旬, 北海道遠軽で, 両手関節部の発疹と軽度の感冒様症状で受診. 上腕部, 胸部, 腹部の発赤にも気づく, 2日後, 腹部に見られた発赤は急速に遠心性の拡大を示し, 腹部全体に巨大な紅斑を形成する. 色調は鮮紅色であるが, 中央部は淡い傾向があり, 掻痒感は著明でない. 紅斑は第5病日までに徐々に消退した. 5週後の血清をCDC (USA) で検査したところ, Borrelia burgdorferiに対する抗体が有意に上昇しており, ライム病と診断した. 本症例は発病時期が不明確であるが, 極めて急速に経過した症例で, マダニ咬傷の記憶もない. 最近ではマダニ以外の媒介昆虫も報告されており, 我が国でも今後注意が必要である.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.500