腹部鈍的外傷による遅発性小腸狭窄の1例

腹部鈍的外傷後の遅発性小腸狭窄は極めてまれな疾患である. 症例は26歳, 男性. 食後の腹痛と嘔気を主訴として転入院した. 現病歴は仕事中に4tのローラーの下敷きとなり, 右肘部礫断と腹腔内出血の疑いに対して前医にて右上腕接着術と試験開腹術を施行された. 受傷約1ヵ月後より, 経口摂取後の腹痛, 嘔気などの症状がみられるようになったため, 精査加療目的で当院へ転入院した. 当初, 術後の癒着性イレウスを疑い, 中心静脈栄養下にてイレウスチューブにて保存的治療を約1ヵ月施行したが, 改善しないため, 再開腹術を施行した. 開腹所見では, 回盲部より口側約30cmの部位に約13cmにわたる腸管壁の...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 87 - 90
Main Authors 安積, 靖友, 小野山, 裕彦, 後藤, 直大, 裏川, 公章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2003
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.23.87

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Summary:腹部鈍的外傷後の遅発性小腸狭窄は極めてまれな疾患である. 症例は26歳, 男性. 食後の腹痛と嘔気を主訴として転入院した. 現病歴は仕事中に4tのローラーの下敷きとなり, 右肘部礫断と腹腔内出血の疑いに対して前医にて右上腕接着術と試験開腹術を施行された. 受傷約1ヵ月後より, 経口摂取後の腹痛, 嘔気などの症状がみられるようになったため, 精査加療目的で当院へ転入院した. 当初, 術後の癒着性イレウスを疑い, 中心静脈栄養下にてイレウスチューブにて保存的治療を約1ヵ月施行したが, 改善しないため, 再開腹術を施行した. 開腹所見では, 回盲部より口側約30cmの部位に約13cmにわたる腸管壁の肥厚と内腔の狭窄を認めた. そのため小腸部分切除術を施行した. 術後経過は良好であった. 腹部外傷の既往にイレウス症状が伴った場合には本症を念頭におき診療に当たることが重要であると考えられる.
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.23.87