中赤外パッシブ分光イメージングによるグルコース偏在性の可視化
人体からは、プランクの法則に従って体温(36℃≒300K)相当の中赤外領域(波長:10µm近傍)の放射光が放出されている。これは、体を構成している分子が熱エネルギーにより分子振動する事による電場の振動を起因とした電磁波である。一方、グルコースなどの成分は、それぞれ固有の分子構造を持っている事から、分子振動の共振周波数が異なる。従来は、振動分光法の一つとして赤外分光吸光法が知られている。これは、照明をサンプルに照射するアクティブ分光法であり、分子振動エネルギーとして吸収された波長を観察する事により成分を同定する。パッシブ分光法とアクティブ分光法は、“ネガとポジ”の関係がある。アクティブ分光法で吸...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Proc; pp. 385 - 387 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual62.385 |
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Summary: | 人体からは、プランクの法則に従って体温(36℃≒300K)相当の中赤外領域(波長:10µm近傍)の放射光が放出されている。これは、体を構成している分子が熱エネルギーにより分子振動する事による電場の振動を起因とした電磁波である。一方、グルコースなどの成分は、それぞれ固有の分子構造を持っている事から、分子振動の共振周波数が異なる。従来は、振動分光法の一つとして赤外分光吸光法が知られている。これは、照明をサンプルに照射するアクティブ分光法であり、分子振動エネルギーとして吸収された波長を観察する事により成分を同定する。パッシブ分光法とアクティブ分光法は、“ネガとポジ”の関係がある。アクティブ分光法で吸収ピークとして観察される同じ波長で、パッシブ分光法では発光ピークとして観察される。なお一般的に、グルコース水溶液は9.25µmと9.65µmに特異な吸収ピークを有する事が知られている。そこで、中赤外パッシブ分光イメージングにより人体から放出される放射光分布から9.25µm、9.65µmの発光ピークの発光度を2次元で画像化した。被験者に、実験途中で甘いジュースを飲んでもらった所、グルコース起因の発光度の偏在性の変化を観察する事ができた。これにより、例えば開腹手術時のグルコースの偏在性からがんの浸潤性を特定する、或いは時系列なグルコース濃度の変化量から消費量を推定して運動量計測に展開する事が期待されている。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual62.385 |