イオン交換樹脂触媒を用いたフルフラールとアセトンのアルドール縮合反応

バイオマス資源がフラン化合物を経てドロップイン燃料へと変わる触媒反応プロセスにおいて,フラン化合物とアセトンの水相アルドール縮合は目的生成物の炭素数制御を担う。この反応に対するイオン交換樹脂の触媒性能を調べた。フラン化合物にはフルフラールを使用し,40℃常圧の条件で反応実験を操作した。塩基特性が異なる3種類のイオン交換樹脂を用いた反応実験の結果は,第4 級アンモニウム塩からなる官能基が多いほど高活性であることを示した。また,樹脂母材の性質が触媒活性に及ぼす影響を調べる反応実験からは,MR(Macro-Reticular:巨大網目)型樹脂がゲル型樹脂よりも反応を促進する結果を得た。これは,水相ア...

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Published in日本エネルギー学会誌 Vol. 93; no. 12; pp. 1236 - 1243
Main Authors 高津, 淑人, 井上, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本エネルギー学会 2014
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Summary:バイオマス資源がフラン化合物を経てドロップイン燃料へと変わる触媒反応プロセスにおいて,フラン化合物とアセトンの水相アルドール縮合は目的生成物の炭素数制御を担う。この反応に対するイオン交換樹脂の触媒性能を調べた。フラン化合物にはフルフラールを使用し,40℃常圧の条件で反応実験を操作した。塩基特性が異なる3種類のイオン交換樹脂を用いた反応実験の結果は,第4 級アンモニウム塩からなる官能基が多いほど高活性であることを示した。また,樹脂母材の性質が触媒活性に及ぼす影響を調べる反応実験からは,MR(Macro-Reticular:巨大網目)型樹脂がゲル型樹脂よりも反応を促進する結果を得た。これは,水相アルドール縮合において樹脂母材が十分に膨潤しないことを示唆する。生成したアルドール縮合物は,主に炭素数が8 のフラニルブテノン(FB)と炭素数が13 のビスフラニルペンタジエノン(BFP)であり,MR 型樹脂はゲル型樹脂よりも高いBFP 選択率をもたらした。ただし,イオン交換樹脂を再使用しながら反応実験を繰り返すと,触媒活性が著しく低下した。
ISSN:0916-8753
1882-6121
DOI:10.3775/jie.93.1236