Virtual Scent: プライバシーと位置精度をともに満足する位置情報の曖昧化手法

GPSなどの測位システムと携帯電話などの無線通信の普及により,ユーザの位置情報を正確かつリアルタイムに取得できるようになった.しかし,正確かつ即時性の高い位置情報の公開は,実空間でのユーザの特定を可能にし,匿名性を失わせる.ユーザの滞在位置に誤差を与えることで匿名性を維持できるが,位置精度の低下はサービス品質の劣化を招く.本論文は,k匿名性と位置精度をともに満足する新たな位置情報の曖昧化手法Virtual Scentを提案する.Virtual Scentは,個々のユーザをぼやっとした「匂い」として表示することで匿名性を確保する.複数のユーザが匂いを発すると,それらは互いに混ざり合い,正しい位置...

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Published in知能と情報 Vol. 26; no. 5; pp. 820 - 829
Main Authors 佐藤, 浩史, 井上, 武, 岩本, 秀明, 小柳, 惠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本知能情報ファジィ学会 2014
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Summary:GPSなどの測位システムと携帯電話などの無線通信の普及により,ユーザの位置情報を正確かつリアルタイムに取得できるようになった.しかし,正確かつ即時性の高い位置情報の公開は,実空間でのユーザの特定を可能にし,匿名性を失わせる.ユーザの滞在位置に誤差を与えることで匿名性を維持できるが,位置精度の低下はサービス品質の劣化を招く.本論文は,k匿名性と位置精度をともに満足する新たな位置情報の曖昧化手法Virtual Scentを提案する.Virtual Scentは,個々のユーザをぼやっとした「匂い」として表示することで匿名性を確保する.複数のユーザが匂いを発すると,それらは互いに混ざり合い,正しい位置で強め合うため,曖昧化される位置情報でも精度を保証することができる.シミュレーションと実験でVirtual Scentを評価し,信頼性と有用性を示す.
ISSN:1347-7986
1881-7203
DOI:10.3156/jsoft.26.820